新世代は旧世代を大きく超えよ

科学技術は日進月歩の世界です。特にテレビ、オーディオ、コンピューター関連の機器は急速に加速しています。 新世代、旧世代のそれぞれの製品の特長を見い出し参考になれば幸いでございます。

【見た目はオーブントースター?!】THOR ZONE社 小型PCケース「NANOQ S」をレビュー

今回ご紹介するのは2024年1月に プレオーダー受付開始したMini-Itx小型 PCケースTHOR ZONE社「NANOQ S」です。

読み方は「ソーゾーン」「ナノキュー(ナノク)」と読みます。 ラインナップは以下の通りです。

 

カラーバリエーションは「カーボン」「グラファイト」「ムーンストーン」の3種類です。

 

ベーシックモデルの本体価格は「319€」です。

 

筆者オプションモデルの詳細

 

❶Handles - €29

❷Lightrays - €29

❸Carbon Front - €19

❹Walnut Front - €44

 

総合計は€440(約67,000円相当)です。

 

他にも、簡易水冷クーラー「Asetek Gen 7 AIO - €109」などのオプションパーツも用意されています。

 

「NANOQ S」の詳細はこちら

プレオーダー受付開始から約7か月後に筆者の手元に届いたので、早速、レビューしていきます。

「NANOQ S (R)」の特長

❶ 一体型デザイン・・・「NANOQ」はCNC加工された一体型フレームで、見た目の美しさと耐久性を兼ね備えています。

 

特に「NANOQ S」は、そのデザイン性を高めるだけでなく、ケースの剛性と強度もサポートしており、長期的に信頼できる選択肢です。

 

❷ サイズオプション・・・「NANOQ」は11L(S)と16L(R)の2つのサイズ展開で、ユーザーのスペースや用途に応じて選べるのが嬉しいポイントです。

 

大きさに妥協せず、自分の理想のPCビルドを実現するための柔軟性を提供してくれます。

 

❸ 冷却互換性・・・「NANOQ」は空冷・水冷どちらにも対応可能で、「280mmラジエーター(R)」や様々なファン配置に対応しています。

 

ハイパフォーマンスなシステムでも安心して冷却できる設計となっており、熱に対する心配を最小限に抑えられます。

 

GPUおよびPSUの互換性・・・「NANOQ」は「最大4スロット(R)」のGPUに対応しており、最新の高性能グラフィックボードも問題なく搭載可能です。

 

「SFX」および「SFX-L」の電源ユニットにも対応しているため、パワフルな構成でもしっかりと動作しますが、SFX-Lを使用する際はスペースの確認が必要です。

 

❺ 美観とカスタマイズ・・・「NANOQ」は「RGBライティング」や「カスタムフロントパネルオプション」が豊富に用意されており、まさに自分だけの一台を作り上げることができます。

 

フロントパネルには「カーボン」や「ウォルナット」など多彩な素材が選べ、個性が光るカスタマイズが楽しめます。

開封の儀

外観

「NANOQ S」をチェックする

箱を開けると、「NANOQ S」の洗練されたデザインが目に飛び込んできます。

 

手に取るとその軽さに驚きますが、3mmの肉厚パネル(NANOQ Rは4mm)がしっかりとした剛性と耐久性を感じさせます。

 

「MJOLNIR=5mm」と比較して薄くなっているとはいえ、質感や耐久性には妥協がありません。

 

「カーボンブラック」のカラーは、シンプルでありながら高級感があり、表面のサラサラとした質感が触り心地を一層引き立てています。

 

ちょっとサイズを見てみます。

 

「NANOQ S」のサイズはW141mm x D355mm x H226mmとなります。

 

左、Fractal Design社「Terra」・・・W153mm x D343mm x H198mm

左、THOR ZONE社「MJOLNIR」・・・W131mm x D354mm x H209mm 

「Terra」と「MJOLNIR」と比較すると、一回り大きいのがわかります。

 

それでは組み立ていきます。

 

ケースを垂直に立て、「フロントパネル」の「ロックコラム」を押し上げてケースのロックを解除します。

「シェル」をゆっくりと引き上げて「コア」から外します。

パーツボックスを取り出し、「ロックコラムネジ」を調整して「コア」を準備します。

「コア」はこのようになります。

次に「フロントパネル」を「ウォールナット」に取り替えます。

2か所のネジを緩めると、「ロックコラム」が斜めにずれて、隠れていた「フロントパネル」のネジが見えるようになります。

各ネジを外したら、ここで「120mmファン」や「簡易水冷クーラー」の取り付けます。

「カーボンシールド」や「ウォールナットシールド」に交換し、取り付けたらイメージが変わりました。

また、このタイミングでネジを外して「垂直スタンド(ハンドル)」を取り付けると、組み立てがさらにスムーズになります。

電源ケーブル」を背面パネルにしっかりと差し込みます。

「M3x4ネジ」で「ライトレイ」を「コア」に取り付けます。

 

【注意】「ライトレイ」がインストールされたら、再度取り付けます。 

「ライティング」は、ダストフィルターが適度に眩しさを抑えながら、幻想的なアクセントとなって美しく輝きます。

「ライティングアプリ」は、ASUSマザーボードをお使いの方なら、「ARMOURY CRATE」を使って、手軽にお好みのライティング設定を楽しむことができます。

 

Armoury Crateの詳細はこちら

 

「電源ユニット=PSU」を取り付けます。

 

【注意】「簡易水冷クーラー」を使用する場合、「PSUレール」を「コア」から一度取り外してから「PSU」を直接取り付ける方が作業がスムーズになることがあります。

 

その後、「PSUレール」を再度「コア」に取り付けてください。

 

お好みやニーズに応じて「PSU」を横にシフトさせると、さらに取り付けが簡単になります。

「SFX」および「SFX-L」の電源ユニットとしか互換性がないのでご注意ください。

 

次に、「ライザーブラケット」を「コア」にしっかりと取り付けます。

マザーボード」を「I/Oシールド」に合わせて、しっかりと「ボタンヘッドネジ」で固定します。

「ライザー ケーブル」をマザーボードに接続します。 

「簡易水冷クーラー」の「ラジエーター」を取り付けます。

ここで注意が必要なのは、「120mm15mmファン」を「排気」方向に設置すると、「マザーボード」と「ファン」が干渉して回らないことがある点です。

 

「ファン」の向きを調整して、干渉を避けることが重要です。

その場合は、ファンを「吸気」方向に設置することで問題を解消できます。

 

次に、「VGAブラケット」を取り付けて、しっかりと固定します。

今回はNVIDIA社「NVIDIA GeForce RTX 4070 SUPER」を使って換装します。

換装する際には、付属の「M4ワッシャー」と「M4つまみネジ」を使って、「グラフィックボード」を所定の位置にしっかりと固定します。

 

これで「コア」の組み立てはほぼ完成です。

「リンクケーブル」を使って「ライトレイ」を相互に接続します。

 

【注意】一方の「ライトレイ」の「INポート」を、もう一方の「ライトレイ」の「OUTポート」に接続するようにしてください。

「ライトレイ」を「ケーブル」で「マザーボード」に接続します。

「シェル」に「スチールテープ」を貼り付けます。

 

その後、「フロント、トップ、ボトム、サイド」のダストフィルターを「シェル」や「コア」の内部に取り付けて、しっかりと保護します。

付属の「ダストフィルター」を貼り付けた後は、ケースを閉じる際に「シェル」の背面から「コア」をゆっくりと挿入します。

 

手のひらで「ライザーケーブル」をしっかりと押し込み、確実にロックします。

 

最後にゴム足を取り付けて完成です。

今回は、簡易水冷クーラーのファンが干渉することがあったり、構成によって取り付け順序が大きく変わったため、作業中に多くの困難がありました。

 

その結果、作業には約20時間かかりました。

使ってみた感想

早速、「Cinebench R23」を使ってPC内部の温度をチェックしてみました。(室温26℃)

PC構成

【 PCケース】THOR ZONE社「NANOQ S」
【PCファン】Noctua社「NF-A12x25 PWM chromax.black.swap」、Thermalright社「TL―C12015B
【CPU】AMD社「Ryzen 5 7600X
マザーボードASUS社「ROG STRIX B650E-I GAMING WIFI
【メモリ】CORSAIR社「DOMINATOR PLATINUM DDR5, 6200MHz 32GB(16GBx2)
GPUNVIDIA社「GeForce RTX 4070 SUPER 12GB」
PSU】CORSAIR社「SF600

「マルチスコア」は「13053」となり「シングルコア」は「1850」となりました。

 

オープンフレームPCとしてベンチマーク測定に重宝されるstreacom社「bc1」と比較すると、「マルチスコア」では「bc1」の方が優れた結果となりました。

しかし、「CPU最高温度」は「95℃前後」で、「サーマルスロットリング」も発生していないため、全体的には良好なパフォーマンスと言えるでしょう。

 

ただし、「ダストフィルター」の影響か、アイドリング時の温度が「44℃前後」と少し高めに感じました。

 

次に、「サイバーパンク2077」を使ってPC内部の温度を検証しました。

 

高負荷をかけるため、「プリセット - ウルトラ設定」「DLSSオフ / フルレイトレ」で設定しています。

ゲーム中のCPU温度は最高で80℃を瞬間的に超え、常時72℃前後で運用しました。

 

「7600X」はエントリークラスのCPUとしては発熱が少々多いですが、この結果は妥当と言えるでしょう。

 

また、GPU温度も高めだったため、少なくともPCファンは2基以上設置することをオススメします。

 

次はサーモグラフィ画像にてPC外部の温度を見てみます。

外部温度は一番高いところで「45℃前後」と、PCケース本体の温度は高くないものの、排気の熱風が夏場では少々気になるところです。

 

もしPC内部の温度が高くて気になる場合、ダストフィルターを外して使うのも一つの手ですが、これはあまりオススメできません。

2024.08.29:追記

「NANOQ S」のリアにある「ハンドル」は、PCを移動するときに非常に便利です。

 

ただ、微振動が原因で「ネジ」が緩んでしまうことがあるので、定期的なチェックと締め直しが必要です。

 

ただし、「シールテープ」を使えば、この問題は簡単に解決できます。

良かったところ

❶高いビルドクオリティと耐久性・・・CNC加工された一体型デザインは、非常に優れたビルドクオリティを実現しています。

 

以前のモデル「MJOLNIR」で見られたぐらつきの問題もなく、しっかりとした作りです。

 

❷コンパクトながら多機能・・・小型ながらも驚くほどの柔軟性を持ち、強力なハードウェアや高度な冷却ソリューションに対応しています。

 

コンパクトでありながらも、強力なビルドを実現したいエンスージアストに最適です。

 

❸細部へのこだわり・・・ケーブル管理のしやすさやカスタム改造の可能性を考慮した設計が施されており、経験豊富なビルダーにとって非常に魅力的です。

 

❹「ライザーケーブル」の保護・・・「シェル」と「コア」を組み合わせる際、ダストフィルターが「ライザーケーブル」の保護シールドとして機能し、パーツの損傷を防いでくれます。

 

❺デザインと個性・・・「NANOQ S」では「RGBライティング」や「カスタムフロントパネルオプション」が提供されており、他のPCケースにはない独自のカスタマイズ性が魅力です。

 

「フロントパネル」は「カーボン」や「ウォルナット」など、様々な素材から選べるため、ユーザーのビルドに個性を加えることができます。 

 

❻ 最大3スロットGPU搭載が可能です。

最大3スロットのGPUに対応し、シームレスにフレームをスライドさせることができるため、大型の「グラフィックボード」も問題なく搭載できます。

残念な点、注意する点

❶傷の可能性・・・GPUとケースの「一体型シェル」の密着度が高いため、特に厚みのある「グラフィックボード」を取り付ける際に「マイクロスクラッチ」が発生する可能性があります。

 

これを避けるために、付属のダストフィルターを必ず使用することを強くオススメします。

 

❷垂直安定性・・・垂直に配置した場合、特にケースの足元が狭いため、安定性に不安があるかもしれません。

 

最近は地震も多いので、垂直置きは避けたほうが良いでしょう。

 

しっかりと安定させるための対策が必要です。  

 

❸品質管理の粗さ・・・品質管理に少々の雑さが見られます。

例えば、開封時にはフロントシールド(クロム加工)が指紋で汚れていたり、ネジ穴の切り込みが甘く、ネジが奥までしっかり入らないことがありました。

 

2024.09.04:追記訂正

前面のクロームボタンのネジが最後まで締められないことに気づいた方もいるかもしれませんが、これはあえてそう設計されています。

 

この工夫によって、電源ボタンがしっかりと押し込めるようになっています。

 

もし「ネジ穴」が深く作られていたら、ボタンが常に押された状態になってしまうため、こうした細やかな配慮に感心しました。

 

自作PC初心者には難しい・・・自作PC初心者には、パーツの組み立て順序が分かりにくく、かなりのハードルがあるかもしれません。

 

まずは経験を積んでから「NANOQ S」に挑戦すると良いでしょう。

総評

「NANOQ S」は、洗練されたデザインと多機能性を兼ね備えた、SFFケースの中でも際立った存在です。

 

特に、「プレミアム」なビルドを目指す「エンスージアスト」には、理想的な選択肢と言えるでしょう。

 

もちろん、価格や組み立ての際に注意すべき点はありますが、それ以上にこのケースが提供するカスタマイズ性と高級感は、ビルドプロセス全体を楽しむ要素になります。

 

その優れたビルドクオリティ、コンパクトでありながらも多機能な設計、そして高い柔軟性は、「NANOQ S」をSFFケースの中でもトップクラスの製品に位置づけています。

 

エンスージアスト」やPCビルダーにとって、長期的に信頼できる一台を構築するための理想的な選択肢となるでしょう。

 

確かに、組み立てに際して少し工夫が必要であり、価格も考慮するポイントかもしれませんが、その点を上回る魅力が「NANOQ S」には詰まっています。

 

デザイン、性能、耐久性を求める方には、非常にオススメできるケースです。

 

 

お目通し戴き、ありがとうございました。

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ギャラリー

 

 主な仕様

寸法 (高さ x 幅 x 奥行)・・・226 x 141 x 355 mm

重量・・・2.9kg  (with Handles addon) 3.1kg

容量・・・11L

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