新世代は旧世代を大きく超えよ

科学技術は日進月歩の世界です。特にテレビ、オーディオ、コンピューター関連の機器は急速に加速しています。新世代、旧世代のそれぞれの製品の特長を見い出し参考になれば幸いでございます。当ブログでは、ウェブ広告を利用しています(景表法に基づく表示)

【ゲーム専用から特化へ!】AMD 新世代ゲーム特化CPU「Ryzen 7 9800X3D」をレビュー

今回ご紹介するのは2024年11月15日に発売されたAMD社「Ryzen  7 9800X3D=以下、9800X3D」です。

 

価格は86,800円(税込)です。

スペックは以下の通りです。

CPU Ryzen7 9800X3D Ryzen7 7800X3D Ryzen7 5800X3D
コア数 8 8 8
スレッド数 16 16 16
ベースクロック 4.7 GHz 4.2 GHz 3.4 GHz
ブーストクロック 最大 5.2 GHz 最大 5.0 GHz 最大 4.5 GHz
L2 cache 8 MB 8 MB 4 MB
L3 cache 96 MB 96 MB 96 MB
対応メモリ 5600 MHz 5200 MHz DDR4-3200
TDP 120 W 120 W 105 W

新しい「3D V-Cache技術」により、64MBのL3キャッシュが追加されただけでなく、キャッシュをCCDの裏側に配置することで熱抵抗が大幅に低減を実現しました。

 

「ベースクロック」が「500MHz」、「ブーストクロック」が「200MHz」向上し、さらなる性能が発揮されることが期待できます。

 

オーバークロック機能「PBO」も利用可能なので、性能を極限まで引き出したい方には嬉しいポイントです。

ゲーム「専用」から「特化」へ

正当進化を遂げたCPUラインナップ! ゲーマーの心を掴む2つの注目モデル、「7800X3D」と「9800X3D」

 

どちらもゲーミング性能を軸に設計されているものの、アプローチには明確な違いがあります。

 

以下にそれぞれの特徴とターゲットユーザーを分かりやすくまとめました。

 

❶ ゲーム専用(Ryzen 7 7800X3D)

 

「ゲーム専用」とは?

 

ゲーム体験を最優先に、他を削ぎ落とした純粋なゲーミング向けCPU。

 

価格性能比に優れ、特に「ゲームだけを楽しみたい」ユーザーに最適な選択肢です。

 

【特徴】

 

1.価格性能比を重視 必要最低限のコア数(8コア16スレッド)と「3D V-Cache」を組み合わせることで、コストを抑えながら圧倒的なパフォーマンスを発揮。

 

かつて「約4万円台」で提供されていた価格は財布にも優しく、特にコスパを重視するゲーマーに人気でした。(※現在、11月時点では78,000円前後が最安値。)

 

2.ゲーミング特化キャッシュ CPUがボトルネックになりがちなシナリオを解消する「3D V-Cache」により、4K環境でも滑らかなフレームレートを実現。

 

3.シンプルな設計 無駄を省いたシンプル構成(設計当初は積層技術が困難)。

 

ゲームプレイに必要十分な性能を持ちながら、余計なコストをかけずに設計。

 

❷ ゲーム特化(Ryzen 7 9800X3D)

 

「ゲーム特化」とは?

 

「ゲーム専用」の強みを引き継ぎつつ、さらに進化を遂げたCPU。

 

「ゲーミング性能」に加え、「多用途対応」や将来性を重視したフラッグシップモデルです。

 

【特徴】

 

1.さらなるチューニング 同じ「8コア16スレッド構成」ながら、「クロック速度」や「キャッシュ管理」を最適化。

 

特定のゲームでは「7800X3D」を上回るパフォーマンスを発揮し、AAAタイトルでも安定した高フレームレートを提供。

 

2.多用途対応力 ゲームプレイに加え、「配信」や「軽い動画編集」、「複数タスク」の「同時処理」も余裕でこなす汎用性を備えています。

 

例えば「配信しながらゲームをプレイ」など、マルチタスク環境に最適。

 

3.上位志向 価格は高め(11月時点で約90,000円前後)ですが、それに見合う性能と長期的な信頼性を持つハイエンドモデル。

 

【違いのまとめ】

 

❶ 用途のフォーカス

 

ゲーム専用(7800X3D)・・・ゲームプレイに特化し、コストを抑えたピュアゲーミング体験を提供。

 

ゲーム特化(9800X3D)・・・ゲームを中心に、多用途対応も考慮したバランス型ハイエンドモデル。

 

❷ 性能チューニング

 

ゲーム専用(7800X3D)・・・必要十分な性能と価格性能比を追求。

 

4万円台で購入可能だったコスパの高さが特に魅力。

 

ゲーム特化(9800X3D)・・・クロックやキャッシュの最適化でさらなるゲーム性能を提供。

 

重いゲームでも安定したフレームレートを実現。

 

❸ ターゲットユーザー

 

ゲーム専用(7800X3D)・・・価格を抑えながら純粋にゲームを楽しみたいピュアゲーマーにオススメです。

 

ゲーム特化(9800X3D)・・・ゲームと同時に配信や軽い編集作業もこなしたいハイエンド志向のユーザーに最適。

 

どちらを選ぶかは、「予算」と「用途次第」です。

 

プレイスタイルに合ったCPUを見つけると良いでしょう!

「3D V-Cache」でゲーム性能を革新!

「3D V-Cache」技術は、AMDがゲーマーのために開発した最新のCPU技術です。

 

「3D V-Cache」技術は、ゲーム中に感じる動作のスムーズさやパフォーマンスの安定性を大きく向上させるために設計されています。

 

ポイントとなるのは、従来のL3キャッシュを「横に広げる」設計ではなく、「縦に積む」積層技術を採用したことです。

 

この発想の転換により、キャッシュの容量が大幅に増え、データ処理が驚くほど高速化されました。 第2世代ならではの進化

 

❶冷却効率の向上・・・キャッシュをCPUの下に配置することで熱のこもりを防ぎ、より高いクロックで安定動作

 

❷密度と効率の改善・・・キャッシュの密度を約1.5倍に高めると同時に消費電力も削減。

 

❸ゲーム性能のさらなる強化・・・高クロック動作を可能にし、ゲームのパフォーマンスを最大限に引き出します。

 

ゲームへの影響 CPUのボトルネックを解消することで、滑らかなフレームレートを実現。

 

重いゲームシナリオでも安定した高性能を発揮し、ストレスのないプレイ体験を提供。

 

Ryzen 7 9800X3Dに搭載されたこの技術は、ゲーム愛好者にとっての理想を形にしたものです。

 

これまでの制約を打破し、新しい次元のゲーム体験を可能にする「3D V-Cache」は、ゲーマーの期待を超える革新そのものです。

開封の儀

外観

Ryzen 7 9800X3D」のスコア検証

【CPU】AMD社「Ryzen 7 9800X3D」

マザーボードASUS社「ROG CROSSHAIR X870E HERO

【メモリ】CORSAIR社「VENGEANCE DDR5, 6000MHz 32GB(16GBx2)

GPUNVIDIA社「NVIDIA GeForce RTX 4090

PSU】CORSAIR社「Corsair RM1000e

【AIO】EK社「EK-AIO Basic 360」

【Ver】GeForce 566.14

 

「Resizable BAR」は有効にしています。 

 

3D MARK

CPU別スコア

Cinebench R23ー「CPU」

CPU別スコア

blender(V4.2.0)ー「CPU」

CPU別スコア

「フォースポークン」-「プリセットー最高」、「DLSSークオリティ」

「平均フレームレート」

Call of Duty: Modern Warfare 2」-「プリセットー極限」

「平均フレームレート」

「Horizon Zero Dawn」-「プリセットー最高」

「平均フレームレート」

「zombie army 4」-「プリセットーウルトラ」

「平均フレームレート」

アサシン クリード ヴァルハラ」-「プリセットー最高」

「平均フレームレート」

ファークライ5」-「デフォルト設定」

「平均フレームレート」

ゴーストリコン・ブレイクポイント-「プリセットーウルトラ」

「平均フレームレート」

ディビジョン2-「プリセットー最高」

「平均フレームレート」

SHADOW OF THE TOMB RADER-「プリセットー最高」「平均フレームレート」

デウスエクス マンカインド・ディバイデッド-「プリセットーウルトラ」

「平均フレームレート」

strange brigade-「プリセットーウルトラ」「スケール150%」

「平均フレームレート」

トータルスコア・ゲームスコア(3D MARK、R23、blender-省略)

以上、「Ryzen 7 9800X3D」のスコアでした。

使ってみた感想

今回の「9800X3D」は冷却性能が向上したとされているため、「Cinebench R23」で高負荷時の「CPU温度」を計測してみました。(室温8℃)

「高負荷時」の「最高温度」は「88℃」で、「90℃」を超えることはありませんでした。

 

冷却性能がしっかりしていることが確認できます。

 

一方で、「消費電力」は「最大153W」と、旧世代の「7800X3D」(85W)に比べると約2倍です。

 

「エントリークラス」のCPUと比較してもやや高めです。

 

「アイドル時」の最高温度は「47℃」とやや高めですが、安定しており、「サーマルスロットリング」は一切発生せず、非常に安定した動作が見られました。

次に、「サイバーパンク2077」を使用してゲーム中の「CPU温度」と「消費電力」を確認しました。

 

4K解像度」+「レイトレーシング&パストレーシング」を有効にした高負荷環境でテストした結果は以下の通りです。

最高温度は「83℃」に一時的に達するものの、全体的には「52℃前後」で安定します。

 

室温が低く(8℃)、「360mm簡易水冷クーラー」を使用しているため、「夏場の環境」でどの程度耐えられるかは今後の確認が必要です。

 

フルHD(1080p)」では、「9800X3D」のゲーミング性能が特に際立ちました。 他の解像度に比べても圧倒的な伸びを見せています。

 

「WQHD(1440p)」でも優れたパフォーマンスを発揮します。 ただし、「フルHD」ほどの飛躍的な伸びは見られません。

 

「4K(2160p)」では一部で高いパフォーマンスを発揮するものの、GPU依存が大きく、他のCPUとの差は小さめです。

 

特に「4Kモニター」を使用する場合、「9800X3D」の性能を最大限活かしきれないのが惜しい点です。

 

最近発売された「ROG Swift OLED PG32UCDP」は、4K 240HzやFHD 480Hzに対応したデュアルモードゲーミングモニターです。

「PG32UCDP」を最大限に活用するには、特に「FHD 480Hz環境」で「9800X3D」の性能が最適と感じられます。

 

「4K 144Hzモニター」を卒業して新しい環境に移行するタイミングが来たのかもしれません。

 

「PG32UCDP」との組み合わせで、「9800X3D」の真の実力を発揮させてみたいところです。

 

このように、「冷却性能」や「フルHDのゲーミング性能」では満足できる一方で、用途や環境によってはそのポテンシャルを十分に発揮できない場面もあると感じました。

 

読者の皆さんも、プレイスタイルや環境に応じた選択を検討してみてください。

良かったところ

❶ 最速のゲーミングプロセッサー: ゲーミング性能にこだわるゲーマーには、「9800X3D」が圧倒的なFPSを実現し、どのテストゲームでもトップクラスのパフォーマンスを発揮します。

 

ゲームを最高の状態で楽しみたい方には理想的です。

 

❷ アプリケーションパフォーマンスの向上: 「7800X3D」に比べ、18%の性能向上が実現します。

 

一部のゲームでは、「最大30%」の改善が見られます。 普段からアプリを多く使う方にも嬉しい進化です。

 

❸ エネルギー効率・・・ゲーム中の電力消費が非常に効率的で、同カテゴリーの競合製品に比べて省エネです。

 

高性能を保ちながら、エネルギーも無駄にせず、環境にも優しい設計です。

 

❹ 冷却が簡単・・・空冷でも十分冷却でき、手間なく安定した動作が可能です。

 

負荷時でも温度管理がしっかりされ、長時間使用しても安心してゲームに没頭できます。

 

オーバークロック対応・・・「PBO(Precision Boost Overdrive)」や「Curve Optimizer」でのオーバークロックが可能です。 自分の好みに合わせてさらに性能を引き出すことができ、ゲーマーやオーバークロッカーには嬉しいポイントです。

 

❻ 統合性と互換性・・・「AVX-512」やECC(エラー訂正コードメモリ)にも対応しており、既存のAM5マザーボードでも問題なく動作します。

 

❼ 初期価格は安い?!・・・ 高価格ながらも、その価格に見合った素晴らしいゲーミング性能を提供します。

 

究極のゲーミング体験を求める方には、やはり最適な選択肢です。

残念な点、注意する点

❶ 高価格・・・価格が86,800円と、8コアのプロセッサーとしては高めです。

 

とはいえ、そのパフォーマンスを考慮すれば、その価値は十分にあります。

 

ただし、予算を重視する方には少しハードルが高いかもしれません。

 

❷ 必須、多コアのアプリケーション性能の低さ・・・ゲーミングには素晴らしい性能を発揮しますが、インテルの「Raptor Lake-S」やAMDの他の「高コアモデル」に比べると、アプリケーションの生産性タスクでは物足りなさを感じる場面もあるかもしれません。

 

❸ 比較的、高い電力消費・・・ゲーム性能は申し分ありませんが、「7800X3D」よりも電力消費が高く、「Ryzen 5 7600X / Core i5 14500」などのエントリークラスと比べて負担が大きい場合もあります。

 

❹ AIアクセラレーション用のNPUなし・・・「NPU(ニューラルプロセッシングユニット)」が搭載されていないため、将来的なAIタスクに対して不安が残るかもしれません。

 

一部競合には専用のNPUが搭載されており、AIを活用する場面では少し劣る点があります。

 

例えばラップトップでは「AMD Ryzen AI 9 HX 370」、「Snapdragon X Elite」があります。

 

❺ シングルCCD設計による制限・・・ゲームには最適な設計ですが、「計算集約型」のタスクにおいては、「マルチスレッド性能」が求められる場面で限界を感じることがあるかもしれません。

総評

「純粋なゲーム体験」か、「多用途対応」のフラッグシップか、これがゲーマーにとっての悩ましい選択です。

 

最近、「7800X3D」の価格が上昇し、「9800X3D」との価格差が約1万円ほどになったことで、選択肢がより難しくなっています。

 

もし純粋にゲームだけを楽しみたいのであれば、「7800X3D」がシンプルでコストパフォーマンスも優れており、特にオススメです。

 

しかし、配信や編集作業などにも対応したい方には、「9800X3D」が最適です。

 

将来的な柔軟性を求めるなら、「9800X3D」を選ぶ価値があります。

 

4Kゲーミングのように、GPU依存度が高い環境では、両モデルともにほぼ同じ快適な体験を提供します。

 

しかし、今後の用途を考慮するなら、「9800X3D」を選ぶことが、より安心できる選択と言えるでしょう。

 

どちらを選ぶべきかは、自分が重視するゲーム以外の用途にどれだけ価値を置くかにかかっています。

 

自分のプレイスタイルに合った最適なCPUを選び、最高のゲーミングライフを楽しんでみてはいかがですか?

 

 

お目通し戴き、ありがとうございました。

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主な仕様

ソケット形状 -AM5

コア数-8コア スレッド数-16

クロック周波数-4.7GHz

最大動作クロック周波数-5.2GHz

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