今回ご紹介するのは2024年12月13日に発売されたインテル社「Intel Arc B580 Limited Edition=以下、B580」です。
価格は49,800円です。(税込)
- 「Intel Arc B580 Limited Edition」の特長
- 開封の儀
- 外観
- 「Intel Arc B580 Limited Edition」をチェックする
- 換装の際の準備
- ドライバをインストール
- 「Intel Arc B580 Limited Edition」のスコア検証
- 使ってみた感想
- 良かったところ
- 残念な点、注意する点
- 総評
- 主な仕様
- 関連商品
- トレンドアイテム
❶「Intel Arc B580 Graphics」・・・2024年12月13日
価格・・・249ドル
❷「Intel Arc B570 Graphics」・・・2025年1月16日
価格・・・219ドル
スペックは以下の通りです。
GPU | B580 | B570 | A580 | A380 |
Xeコア数 | 20 | 18 | 24 | 8 |
XEXエンジン | 160 | 144 | 384 | 128 |
レイトレーシングコア数 | 20 | 18 | 24 | 8 |
ベースクロック | 2670 MHz | 2500 MHz | 1700 MHz | 2000 MHz |
メモリ | 12 GB | 10 GB | 8 GB | 6 GB |
メモリ種類 | GDDR6 | GDDR6 | GDDR6 | GDDR6 |
バス幅 | 192-bit | 160-bit | 256-bit | 96-bit |
帯域幅 | 456 GB/s | 380 GB/s | 512 GB/s | 186 GB/s |
TDP/BP | 190 W | 150 W | 175 W | 75 W |
新型GPUは、「Battlemage(バトルメイジ)」というコードネームで開発された「Xe2アーキテクチャ」を採用。
1440p(WQHD)解像度での快適なゲームプレイを目指した設計が特徴です。
特にメモリ使用量の多いゲームやAIタスクにおいて、安定した高パフォーマンスを発揮します。
「Intel Arc B580 Limited Edition」の特長
❶アーキテクチャ・・・インテルの第2世代Xeアーキテクチャ(Xe2)を採用し、TSMCのN5プロセスで製造されています。
❷GPU構成・・・20のXeコア、20のレイトレーシングユニット、160のXeベクトルエンジンとXMXエンジンを備えています。
❸クロック速度・・・グラフィックスクロックは最大2670 MHzで動作します。
❹メモリ・・・12 GBのGDDR6メモリを搭載し、192ビットのメモリインターフェースと456 GB/sの帯域幅を提供します。
❺消費電力・・・総ボード電力(TBP)は190 Wで、600 W以上の電源ユニットと1つの8ピン電源コネクターが必要です。
❻動画エンコード性能の強化・・・AV1ハードウェアエンコード機能の改良で、8Kエンコードや低ビットレートでも高画質を実現。
開封の儀
外観
「Intel Arc B580 Limited Edition」をチェックする
表面ボディの材質は「プラスチック製」ですが、安っぽさは感じられません。
マット仕上げになっているため、傷や汚れがつきやすく、取り扱いには注意が必要です。
リファレンスモデルらしく「2スロット」設計でコンパクトに仕上がっており、質感も高く、所有欲を十分に満たしてくれます。
ボードサイズは「272×115×42mm」です。
この小さなサイズ感は、小型PCケースとの相性が非常に良いのが特徴です。
ファンブレードを見てみます。
「ブレード数」は11枚で、ファンの外径は実測で85mmとなっています。
サイドのデザインも確認すると、配線が隠れており、非常にスッキリとした印象を受けます。
GPUクーラーには4本のヒートパイプが採用されています。
Intel社の発表によれば、これによりエアフローが30%向上し、ノイズレベルが最大50%低減しているとのことです。
インターフェース周りを見てみます。
インターフェース周りは、「ディスプレイポート」が3つ、「HDMI」が1つ備えられています。
接続ピンは「8ピン」を使用します。
バックプレートを軽くたたいて確認したところ、恐らく表面と同じく「プラスチック製」が採用されています。
「ロゴ」など余計な装飾が一切なく、シンプルでクリエイターに好まれるデザインです。
換装の際の準備
グラフィックボードを取り換えるときに古いドライバの削除をおススメします。
ドライバをインストール
グラフィックボードを換装したら「Intel Arc B580 Limited Edition」ドライバをダウンロードしインストールします。
「Intel Arc B580 Limited Edition」のスコア検証
PC構成
【マザーボード】ASUS社「ROG CROSSHAIR X870E HERO」
【メモリ】CORSAIR社「VENGEANCE DDR5, 6000MHz 32GB(16GBx2)」
【GPU】インテル社「Intel Arc B580 Limited Edition」
【PSU】CORSAIR社「Corsair RM1000e」
【AIO】EK社「EK-AIO Basic 360」
【Ver】Graphics Driver 32.0.101.6332_101.6253
「Resizable BAR」は有効にしています。
3D MARK
CPU別スコア
blender(V4.2.0)ー「CPU」
CPU別スコア
「フォースポークン」-「プリセットー最高」
「平均フレームレート」
「Call of Duty: Modern Warfare 2」-「プリセットー極限」
「平均フレームレート」
「Horizon Zero Dawn」-「プリセットー最高」
「平均フレームレート」
「zombie army 4」-「プリセットーウルトラ」
「平均フレームレート」
「アサシン クリード ヴァルハラ」-「プリセットー最高」
「平均フレームレート」
「ファークライ5」-「デフォルト設定」
「平均フレームレート」
ゴーストリコン・ブレイクポイント-「プリセットーウルトラ」
「平均フレームレート」
ディビジョン2-「プリセットー最高」
「平均フレームレート」
SHADOW OF THE TOMB RADER-「プリセットー最高」
「平均フレームレート」
デウスエクス マンカインド・ディバイデッド-「プリセットーウルトラ」
「平均フレームレート」
strange brigade-「プリセットーウルトラ」「スケール150%」
「平均フレームレート」
トータルスコア・ゲームスコア(3D MARK、R23、blender-省略)
ゲーム中の消費電力(Watt)
高負荷時3DMARK 「FIRESTRIKE」(Temp)
以上「Intel Arc B580 Limited Edition」のスコアでした。
使ってみた感想
実際にゲームを軽くプレイしてみたところ、旧世代「A770」と大きく異なる点として挙げられるのは、「普通にゲームができるようになった!」という驚きの変化です。
もちろん、「A770」も平均フレームレートが60fpsを超えることはありました。
しかし、その一方で、特有のカクつきやバグ、画像処理の不安定さが目立ち、実用的なゲーム体験には程遠いものでした。
アップデートを重ねることで平均フレームレートの向上は見られたものの、根本的なカクつきはほぼ解消されず、「ゲーム向きではない」という印象が拭えませんでした。
ところが、「B580」ではそのような不安定さが大幅に改善され、ようやくゲーム市場のスタートラインに立ったという印象を受けました。
現時点では、NVIDIA「GeForce」やAMD「Radeon」に比べてまだ一歩遅れた感は否めませんが、エントリークラスでは競合する可能性も期待できる仕上がりです。
ゲーム性能については、これまでの「Arc特有」のカクつきが解消され、安定したプレイが可能となっています。
もしもデザインが気に入ったのであれば、ゲーム用GPUとしても十分選択肢に入れる価値があると言えるでしょう。
良かったところ
❶将来を見据えたメモリ容量・・・メモリバス帯域幅がRTX 4060や4060 Tiを大きく上回り、高解像度やVRAMを多用するゲームで安定したパフォーマンスを発揮。
❷最新技術の搭載
・XeSS2:AIを活用した最新のアップスケーリング技術で、フレーム生成や遅延低減を実現。
・レイトレーシング性能:20基のレイトレーシングユニットを搭載し、リアルタイム光線追跡にも対応。
❸ユーザー向けカスタマイズ機能・・・Intel Graphics Softwareを使えば、動作クロックやファンカーブ、電力制限など詳細な調整が可能。
❹静音性と冷却性能
・改良されたエアフローとヒートパイプで冷却性能を向上。
・軽負荷時にはファンが停止し、静音性も確保。
❺小型PCに適した設計・・・扱いやすいサイズ感で、さまざまなケースに対応可能。
❻性能面での進化・・・レイトレーシング性能やL1キャッシュが強化され、競合製品(RTX 4060Ti、RX7600XT)に匹敵するパフォーマンスを実現。
❼次世代アーキテクチャ採用
・TSMC 5nmプロセスで効率的な設計。
・DX9のネイティブ実行など、互換性を向上。
・XeSS-FG(フレーム生成機能)などの新機能を搭載。
❽AIタスクへの優位性・・・トークン生成速度が速く、大規模AIモデルを扱う用途で優れたパフォーマンスを発揮。
GeekBench AIのスコアでは「RTX 4060 Ti」と比較して大きな性能差は見られません。
残念な点、注意する点
❶ドライバーの信頼性・・・一部のゲームでは、動作がまだ不安定な場合が見られます。
NVIDIA社やAMD社と比べて最適化が進んでいない点が課題です。
具体的な問題として、ゲーム中に画面が一時的に「ブラックアウト」する現象が発生します。
具体的な症状としてはゲーム中に「ブラックアウト」が発生します。
❷消費電力の懸念・・・アイドル時や高リフレッシュレートモニター利用時の消費電力が高めです。
❸市場競争の激化・・・「RTX4060Ti」や「RX7600XT」と直接競合するため、性能だけでなく価格やソフトウェア面での優位性が必要です。
❹互換性の制約・・・「XeSS-FG対応ゲーム」が限られており、普及には時間がかかりそうです。
❺エッジ部分はGen5 x16仕様に準拠しているものの、実際の動作はGen4 x8接続です。
これは、将来の上位モデルを視野に入れた設計と考えられますが、ユーザーとしては「Gen5 x16」でのフル動作を期待したいところです。
総評
「Intel Arc B580」は、「A770」の欠点を改善し、ミドルレンジGPUとして大きく進化したグラフィックボードです。
これまで問題視されていたカクつきがほぼ解消され、「使えるGPU」としてしっかり市場に登場しました。
まだ「NVIDIA社」や「AMD社」の製品と比べて課題は残りますが、AIや動画エンコード性能が優れており、ゲーム以外の用途でも大きな価値を発揮します。
価格がこなれてくれば、コスパ重視のゲーマーや小型PCユーザーにとって、非常に魅力的な選択肢になるでしょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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主な仕様
272×115×42mm