今回ご紹介するのは2020年3月19日に発売されたコナミデジタルエンタテインメント社=以下コナミ社「PCエンジン mini」です。
2017年頃から現在にかけてレトロゲームシリーズは熱気が冷めることなくコンパクトになって進化し生まれ変わりました。
そのうちの1つである旧世代NEC社製の「PCエンジン」はNEC社と共同開発元であるハドソン社をコナミ社が吸収合併し「PCエンジン mini」が復刻版として登場しました。
それでは元祖「PCエンジン」の歴史を振り返りながら「PCエンジン mini」をレビューしたいと思います。
収録タイトルは全58本です。
「国内版」「海外版(ターボグラフィックス-16)」の2パターンを用意し、それぞれ違った雰囲気を楽しめます。
- PCエンジンの歴史
- 「PCエンジン mini」の特長
- 開封の儀
- 外観
- 「PCエンジン mini」をチェックする
- スイッチオン!
- 隠された「裏技」
- 使ってみた感想
- 良かったところ
- 残念な点、注意する点
- 総評
- 主な仕様
PCエンジンの歴史
「PCエンジン」は1987年に発売されました。
約33年の歳月を経て復刻版「PCエンジン mini」として復活しました!
当時はゲームセンター(アーケード版)の魅力を損なうことなく高い完成度を誇る夢のマシンとして誕生しました。
まず「PCエンジン」のスペックを見てみます。
コンソール名 | PCエンジン | ファミリーコンピューター | セガマークⅢ | メガドライブ |
CPU | 7.16 MHz | 1.79 MHZ | 3.58 MHz | 7.67 MHz |
RAM | 8 KB | 2 KB (16 KB-SRAM) | 8 KB | 64 KB |
VRAM | 64 KB(32 KB✕2) | 2 KB (16 KB-SRAM) | 16 KB | 64 KB(32 KB✕2) |
画面表示 | 512/336/256✕240 | 256×240 | 256✕192 | 320/256✕240 |
色数 | 最大512色(256色中16色) | 52色 | 64色中の16色 | 512色中の64色 |
筆者主観で語りますので、あくまで参考に読んでいただけると幸いです。
ハード「3強争い」は任天堂社8ビット「ファミリーコンピューター」NEC社8ビット「PCエンジン」セガ社16ビット「メガドライブ」ということになります。
そもそも「BIT(ビット)」とは・・・
BIT数が多ければ多いほど「色の階調」の表現が多くなり、より豊かな映像表現が可能になります。
8ビットは「256階調」
16ビットは「65,536階調」
例えば白黒のグラデーションで分かりやすくすると・・・
4ビットの場合
8ビットの場合(PCエンジン mini)
16ビットの場合
つまりビット数が多いほど衣装のしわ、山肌の凹凸、光の影など細かい表現が可能になり、よりリアルに描くことができます。
それぞれのハードは、どれも人気があり個性も強く所有層が大きく異なりました。
例えば「ファミコン」と言えば初期は「マリオブラザーズ」「バルーンファイト」のアクションが中心でした。
しかしライバル機の投入によりグラフィック性能の要求がグッと上がり「ファミコン」はグラフィック勝負より「ストーリー重視」のジャンルへシフトしていきました。
後期には「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」など主にRPGに力を注ぎました。
主人公が広い世界へ旅を冒険し遭遇した敵を倒しながらストーリーを進めるシステムは斬新でした。
そこで戦闘画面にて用いる「選択制コマンド」を採用しました。
末期「ファミコン」は当時ゲームセンター(アーケード版)が大盛況の中、「ファミコン」に移植するもマシンパワー不足の影響で再現性が乏しくアーケード版とは、ほど遠い仕上がりでガッカリしたユーザーは少なくないと思います。
例を挙げると・・・「源平討魔伝」
タイトル画面「アーケード版」
「ファミコン版」
戦闘画面「アーケード版」
凄い迫力ッ!!等身大で刀をブンブン振り回します!!
そして「ファミコン版」はマシンパワーの都合でボードゲーム「RPG」になりました。
当時はファミコンと併用するボードゲームはとても斬新で楽しかった!
このように「アーケード版」と「ファミコン版」はグラフィック表現に差が生じてしまいゲームのシステムが大幅に変更せざるを得ませんでした。
そこで「アーケード版」の雰囲気や操作性を忠実に再現したマシン「メガドライブ」です。
【小さな名機】セガ社「メガドライブミニ 」をレビュー
アーケード版タイトルが豊富な「メガドライブ」は中学生以上の大人向けに受けていた印象があります。
「メガドライブ」のオリジナルゲーム「ソニック・ザ・ヘッジホッグ2」が大ヒットしました。
そして「PCエンジン」!!
「PCエンジン」は「人気のファミコン」と「アーケード再現性重視のメガドライブ」の中間にあたる印象でした。
PCエンジンの名作タイトルと言えば・・・。
筆者の主観で名作タイトルを挙げます。
PCエンジン末期に発売されたタイトルになりますがパルソフト社の横スクロールシューティングゲーム「マジカルチェイス」というタイトルです。
「マジカルチェイス」はPCエンジンの集大成ともいえるハード性能をフルに活用した名作中の名作です。
今では超レアとして扱われて中古価格がナント!!約6万円から60万円で取引されています。
タイトル画面とゲーム画面を見てみます。
とてもポップでカラフルなシューティングゲームは今でも古さを感じさせない完成度の高いタイトルです。
次は対戦格闘のブーム火付け役となったタイトル「ストリートファイターⅡ´(ダッシュ)=以下、ストⅡ´」です。
「ストⅡ´」は対戦格闘ゲームのシステムで「6ボタン」を採用しましたが「PCエンジン」の初期パッドが「2ボタン」なので急遽、「ストⅡ´」など対戦格闘ブームに合わせ「6ボタン」コントローラーを発売しました。
まず「アーケード版」と「PCエンジン版」を比較してみます。
キャラクター選択画面と戦闘画面「アーケード版」
「PCエンジン版」
「アーケード版」に比べ背景のオブジェクトは少ないですが操作性やモーションパターン数は、しっかり再現されていました。
しかし音源が弱いせいで音が悪いのが目立ちました。
音源の弱点を克服した本体に拡張する大容量媒体「CD-ROM2」が誕生しました。
時代は音声合成から音声取り込みに切り替わりました。
そのゲームタイトルは「天外魔境2」です。
本機に収録されているので是非、お楽しみください。
今では当たり前のシステムですが当時はキャラクターが喋るのは本当に感動しました!
「PCエンジン」は「アーケードゲーム」から「RPG」まで幅広いジャンルを扱うオールマイティーなゲームマシンでした。
さて前置きが長くなったので、このへんで「PCエンジン mini」のレビューをしていきます。
「PCエンジン mini」の特長
❶手のひらにすっぽり収まるコンパクトボディー
❷いつでもカンタンセーブ機能・・・ゲーム中にいつでもセーブできる「カンタンセーブ機能」に対応。
好きなタイミングでセーブデータを保存し、いつでもゲームを再開する事ができます。 ❸選べるディスプレイモード・・・HDMIでのカンタン接続はもちろん、ブラウン管テレビの走査線を再現したモードなど、お好みに合わせてお選びいただけます。
❹マルチタップで最大5人同時プレイ可能・・・マルチタップにコントローラーを接続すれば、最大5人での同時プレイが可能です。(コナミ社HPより引用)
開封の儀
外観
「PCエンジン mini」をチェックする
「PCエンジンmini」に非常に小さいですが,もともと「元祖PCエンジン」が小さいので正直、サイズに関しては正直、驚きませんでした。
筆者の「iPhone8」と並べてみます。
非常に小さいことが分かります。
本記事の「元祖PCエンジン」は筆者が幼少期に愛用していた思い出がたくさん詰まった愛機です。
長い間、押し入れに保管していました。
かなり年季が入っております。
起動するか分かりませんが丈夫な設計なので多分、起動すると思います。
それでは左「PCエンジンmini」、右「元祖PCエンジン」の大きさを比べてみます。
サイズのインパクトはありませんが小さくなって持ち運びが便利になりました。
「PCエンジンmini」にはカードスロットはありません。
サイドを見てみます。
両サイドには映像出力、AC(電源供給)の刻印がありますが端子はありません。
本体背面にオレンジのカバーがあります。
カバーを外すと「HDMI」「電源供給USB」の接続端子があります。
ちなみに「元祖PCエンジン」は拡張端子があります。
主な用途は容量拡大ストレージ「天の声2」や「CD-ROM2」を取り付けます。
コントローラーを見てみます。
「元祖PCエンジン」と同じコントローラーを採用しています。
プレイ環境が当時のままなので違和感なく遊べます。
コントローラーを見比べてみます。
コントローラーの左上に「NEC」ロゴの違いがあります。
それ以外は、ほとんど同じです。
ボタンのタッチ感は「mini」の方が固い。
なので少々、強く押し込みます。
それでは接続していきます。
USBが2系統ありますが上が1P、下が2Pになります。
各ケーブル「HDMI」「USB電源供給ケーブル」
USB電源供給ケーブルにはコンセントに差し込む「USBソケット」を別途用意してください。
最近はテレビにUSB端子が装備されているのが多いので設置はスマートになります。
さて準備ができたところで・・・スイッチオン!
スイッチオン!
パワーランプはありませんがスイッチを横にスライドすると赤いシールが見えます。
電源を入れると画面には「言語選択」画面が表示されます。
そしてメインメニュー画面に切り替わるとゲームタイトルが並びます。
左右にスライドして遊びたいゲームを探していきます。
それでは簡単に設定項目を案内します。
「マニュアル」「言語設定」
「スクリーン設定」・・・画面の比率はテレビの種類、気分に合わせて、お好きな比率で楽しむことができます。
「壁紙設定」
「メインフレーム」・・・ゲーム中のバックの背景を4種類の中から選べます。
「本体の初期化」・・・工場出荷時に戻します。
各設定が終わったところでゲームをします!
最初は「大魔界村」をプレイします。
おぉー!画面の発色は鮮やかに明るくクッキリしてイイ感じです!
画面が暗いか心配でしたが非常に明るくて満足です!
各セーブデータは「4スロット」あるので「セーブ&ロード」を繰り返せば、かつてクリアできなかったゲームも簡単クリアできそう?!
次は「THE功夫」をプレイします。
次々と襲ってくる敵を倒していくカンフー横スクロールアクションです。
昔は簡単にクリアしましたが今、プレイするとかなり難しい!!
ホラーアクションゲーム「スプラッターハウス」をプレイします。
アーケード版と遜色ないクォリティーでスリリング倍増!
ひと通り遊んだところで「海外版」を遊んでみます。
メニュー画面に戻って「右下」のラインナップ選択を押してみます。
すると・・・全体的に黒い画面に替わります。
名作中の名作と言えば・・・やっぱり「加トちゃんケンちゃん」です。
ゲーム内容は探偵である主人公の「カトちゃん」「ケンちゃん」を操作し様々な障害物を避けながら「蹴り」「ジャンプ」を絶妙なタイミング操作で駆け抜ける爽快アクションゲームです。
しかしよく見ると・・・「加トちゃんケンちゃん」ではありません!
左「海外版」、右「国内版」
やっぱり「国内版」の方がイイですね! 「国内版」が遊べないのが非常に残念です!
次は「裏技」を紹介します。
隠された「裏技」
「PCエンジン mini」で当時の「アーケード版」に近い「near Arcade版」が遊べる裏技があります!
やり方は簡単です!
メニュー画面にてゲームタイトルに合わせて「SELECT+RUN」ボタンを押すだけです。
まず「ファンタジーゾーン」で試してみます。
「PCエンジンmini版」
「near Arcade版」
「アーケード版」と遜色ないクォリティーは「PCエンジン」ならでは!
ヤンキーが多く集うゲームセンターで怯えながらゲームすることは、なくなりました。
2つ目は「グラディウス」を見てみます。
左「PCエンジンmini版」、右「near Arcade版」
背景の色に少し違いがありますが「アーケード版」の再現力はバッチリ!!
「PCエンジン版」「near Arcade版」の違いを見比べるのも1つの楽しみ方です。
他にも、たくさんの「裏技」が隠れているので色々、試しながら探してみてください。
使ってみた感想
ひと通り遊んでみました。
一番、嬉しいのは「HDMIケーブル」で超高画質で遊べることです。
クッキリ鮮やかな発色で非常に見やすくなっています。
操作性は実機そのままなので違和感なく当時の思い出に浸りながら楽しめます。
ただ海外版の収録は「英語」表記になるのでニュアンスが感じにくく、あまり楽しめませんでした。
良かったところ
❶「HDMI」による高画質で遊べるのは嬉しい!
❷パッドが当時と同じサイズなので実機そのままの操作性で遊べる!
❸いつでもカンタンセーブ機能があるので当時クリアできなかったゲームも楽々クリア?!
❹「near Arcade版」が限りなく「アーケード版」に近いクォリティーで遊べる。
❺収録ゲームは全部で58種類!
残念な点、注意する点
❶「海外版」の字幕が英語表記なのでニュアンスが伝わらず、あまり没頭できない。 ❷「国内版」「海外版」タイトルが一部、重複している。
総評
33年の時を経て久々に「PCエンジン」の魅力に浸れました。
当時のグラフィック表現「ドット絵」が単純さゆえに独特の魅力があります。
今のポリゴンゲームにない創意工夫を凝らした「ドット絵」の世界観がゲームの原点回帰と言えるでしょう。
ゲームの歴史を振り返りながら進化の過程を体験してみませんか?
主な仕様
サイズ-約120×33×119mm(幅×高さ×奥行)
重量-本体160g、パッド140g
映像出力-720p、480p
音声出力-リニアPCM
最大消費電力-10W
お目通し戴き、ありがとうございました。
AD: N.K
お時間があれば、こちらも目を通して戴けると幸いでございます
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