新世代は旧世代を大きく超えよ

科学技術は日進月歩の世界です。特にテレビ、オーディオ、コンピューター関連の機器は急速に加速しています。 新世代、旧世代のそれぞれの製品の特長を見い出し参考になれば幸いでございます。

【ゲームが直った?!】インテル社 第13・14世代CPU向け「Intel Baseline Profile」を試してみた!

今回ご紹介するのは、インテル社の第13・14世代Core向け「Intel Baseline Profile」の試用レビューです。

ASUSマザーボードBIOSIntel Baseline Profile」は、第13・14世代Core向けの新機能で、CPUの安定性問題にフォーカスしています。

 

最近、「Raptor Lake」のCoreプロセッサでは、ゲームプレイ中に安定性の問題が報告されています。

 

現在、「ASUS」を含むマザーボードメーカーは、この問題に積極的に取り組んでおり、第13・14世代Core向けのマザーボード向けの最新BIOSに「Intel Baseline Profile」を追加するなどして、安定性を向上させています。

 

このプロファイルの主な効果は、システムの動作安定性を重視したBIOS設定です。

 

主に電力供給や動作温度などのオーバークロック関連の設定を変更し、安定性を高めます。

 

「Current Execution Protection」や「IccMax」(電流リミット)、「Thermal Velocity Boost」などの項目において、安定性重視の値を初期設定として変更します。

 

しかし、この設定を適用するとCPU「主に13900K(S)、14900K(S)」の性能が低下するという報告もあり、ユーザーの間で議論が広がっています。

 

今後の対策に注目が集まります。

 

早速、最新のBIOSに更新してIntel Baseline Profileを適用し、CPUの性能にどんな影響をもたらすかを検証してみます。

どんな症状が起きるの?

筆者はASUS社製のマザーボード「ROG STRIX Z790-I GAMING WIFI」に、旧世代の「Core i9 13900K」を使用していましたが、最新の「Core i9 14900K」がリリースされたため、それに入れ替えてしばらく使ってきました。

 

しかし、使用していく中で、「Horizon Zero Dawn」や「ホグワーツレガシー」などのゲームで徐々に、ロード中に強制終了するという症状が目立つようになりました。

 

最初はその場を諦めていましたが、しばらくゲームをしない間に再度これらのゲームを起動したところ、完全にゲーム進行が不可能な状態(クラッシュ)になっていました。

 

さらに、同様の症状を抱えるユーザーからの報告も相次ぎ、この問題が筆者だけのトラブルではなく、多くのユーザーが遭遇している可能性があると感じました。

 

これは単なる個別のトラブルではなく、致命的な欠陥の可能性があると考えられ、今後の解決策が待たれています。

 

そのため、今回はクラッシュして進行不能になったゲームを再び起動させる目的で、筆者が「Intel Baseline Profile」のBIOS設定(PL1=PL2=100~125Wなど)のいくつかのパターンで、段取りや対処方法、解決方法などを図解で記載した記事を執筆しています。

不具合が侵食し、次第に破壊されていく?!

【PCケース】「Fractal Design North Charcoal Black

【CPU】INTEL社「Core i9-14900K

マザーボードASUS社「ROG STRIX Z790-I GAMING WIFI

【メモリ】CORSAIR社「VENGEANCE DDR5, 6000MHz 32GB(16GBx2)

GPUNVIDIA社「NVIDIA GeForce RTX 4090

PSU】CORSAIR社「Corsair RM1000e

【AIO】ASUS社「ROG RYUJIN II 240

GPUドライバ】:GeForce 552.12→552.22

BIOS】:2102→2202

 

このPC構成において、NVIDIA社の「NVIDIA GeForce RTX 4090」やASUS社の「TUF-RTX4090-O24G-GAMING」、「PROART-RTX4080S-O16G」など、全てのGPUにおいて同様の症状が発生しました。

 

手持ちの「RX7800XTリファレンスモデル」も、GeForce RTXシリーズと同様の問題が起こり、「Horizon Zero Dawn」のみがクラッシュする現象が発生しました。

 

クラッシュするゲームタイトルは以下の通りです。

 

❶「Horizon Zero Dawn」

 

❷「Horizon Forbidden West Complete Edition」

 

これらのゲームはどちらも「ロード中」に強制終了します。

 

❸「ホグワーツレガシー」は起動さえしません。

 

❹「ゾンビアーミートリロジー」はゲーム中にフリーズし、マウス操作に反応するものの、デバイスマネージャーを開いても操作ができず、強制的に「シャットダウン」を選択してゲームを終了するしかありません。

 

こうした問題に対処するため、起動しなかったゲームやアプリを再度起動できるよう準備を進めていきます。

対処方法の手順

対処方法の手順は以下の通りです。

 

BIOSのダウンロードはこちら

 

BIOSアップデート方法」はこちらをご参照ください。

 

【ちょっと待って!】第12世代「Z690 / B660」マザーボードを買う前に・・・【問題解決編】

まず、BIOSを起動するには、電源を入れた後に「F2」を押し続けてください。

そうすると、トップ画面が表示され、PCのスペックを確認できます。

 

次に、「F7」を押して「詳細設定モード」に切り替えます。

 

その後、「Intel Baseline Profile」を適用するために、「YES」をクリックします。

少々パフォーマンスが低下することがありますが、これまで起動しなかったアプリやゲームが起動できるようになります。

 

新しいBIOS「2202」にアップデートしただけでは、アプリやゲームが起動しない場合があるため、「Intel Baseline Profile」を必ず適用してください。

 

GeForce旧ドライバ 552.12 旧BIOS 2102(NGパターン)

 

BIOSプロファイル「デフォルト / AUTO=4095W」と「XMPⅡ / AUTO」の2パターンで起動しましたが、どちらもNGでした。

 

GeForce新ドライバ 552.22 新BIOS 2202 「Intel Baseline Profile / AUTO=デフォルト=4095W」(NGパターン)

 

BIOS 2202にアップデートし、「Intel Baseline Profile」を敢えて適用せずにBIOSプロファイル「デフォルト=AUTO」と「XMPⅡ / AUTO」の両方で起動しましたが、どちらもNGでした。

 

GeForceドライバ 552.22 BIOS 2202 「Intel Baseline Profile」(OKパターン)

 

次に、「Intel Baseline Profile」を適用してBIOSプロファイル「デフォルト」で起動したところ、「Horizon Zero Dawn」が無事にロードが完了し、ゲームができる状態になりました。

 

デフォルト設定は「AUTO」に設定されていますが、CPU破損やハードウェアの損傷を心配する場合は、「Intel Baseline Profile適用」または「Long Duration Power Limit(PL1=PBP)」と「Short Duration Power Limit(PL2=MTP)」を100W~125W程度に設定しておくことをオススメします。

 

Processor Base Power(PBP)」は、CPUがベースクロックで動作した際の電力指標を示します。

 

「Maximum Turbo Power(MTP)」は、そのCPUのTurbo Boost時における最大消費電力(熱量)を示します。

「Horizon Zero Dawn」→「Horizon Forbidden West Complete Edition」→「ホグワーツレガシー」→「ゾンビアーミートリロジー」の順番で各タイトルにつき30~40分程度、テストプレイして問題なく動作しました。

 

ただし❸のパターンではCPU処理が大幅に低下し、少々不満でしたので、試しに❹を試したところ、驚くことに、「Intel Baseline Profile / AUTO」を解除してBIOSプロファイル「XMPⅡ / AUTO」で起動したら問題なく動作しました。

 

GeForceドライバ 552.22 BIOS 2202 「Intel Baseline Profile」は解除、BIOSプロファイル「XMPⅡ / AUTO」(OKパターン)

 

最後に、ポイントとしては、「Intel Baseline Profile」を適用させて動作不安定なゲームタイトルを起動し、動作安定を確認した後に再起動してBIOS画面を立ち上げて、「Intel Baseline Profile」を解除し、「BIOSプロファイル「XMPⅡ / AUTO」を起動すると、CPUのパフォーマンス性能が大幅に低下することはありませんでした。

 

よって、現在は「Intel Baseline Profile」を解除し、「BIOSプロファイル「XMPⅡ / AUTO」で順調に動作しております。

 

マニュアル操作による高負荷なオーバークロックは避け、むしろBIOSプロファイル「XMPⅡ / AUTO」を敢えて適用して運用しております。

 

それではそれぞれの「プロファイル別」にパフォーマンス性能を見てみます。

Intel Baseline Profile」のスコア検証

PC構成

【PCケース】「Fractal Design North Charcoal Black

【CPU】INTEL社「Core i9-14900K

マザーボードASUS社「ROG STRIX Z790-I GAMING WIFI

【メモリ】CORSAIR社「VENGEANCE DDR5, 6000MHz 32GB(16GBx2)

GPUNVIDIA社「NVIDIA GeForce RTX 4090

PSU】CORSAIR社「Corsair RM1000e

【AIO】ASUS社「ROG RYUJIN II 240

【Ver】GeForce 552.22

 

「Resizable BAR」は有効にしています。

 

3D MARK

GPU別スコア

Cinebench R23ー「CPU」

blender(V3.4.0)ー「GPU

GPU別スコア

「フォースポークン」-「デフォルト設定」

「平均フレームレート」

Call of Duty: Modern Warfare 2」-「デフォルト設定」

「平均フレームレート」

「Horizon Zero Dawn」-「デフォルト設定」

「平均フレームレート」

「zombie army 4」-「デフォルト設定」

「平均フレームレート」

アサシン クリード ヴァルハラ」-「デフォルト設定」

「平均フレームレート」

ファークライ5」-「デフォルト設定」

「平均フレームレート」

ゴーストリコン・ブレイクポイント-「デフォルト設定」

「平均フレームレート」

ディビジョン2-「デフォルト設定」

「平均フレームレート」

SHADOW OF THE TOMB RADER-「デフォルト設定」

「平均フレームレート」

デウスエクス マンカインド・ディバイデッド-「デフォルト設定」

「平均フレームレート」

strange brigade-「スケール150%」

「平均フレームレート」

トータルスコア、ゲームスコア(3D MARK、blender-省略)

 

以上、「プロファイル別」のスコアでした。

使ってみた感想

「プロファイル別」によるパフォーマンス性能の差は、ユーザーを悩ませるほど大きなものです。

 

❶「Intel Baseline Profile」Cinebench R23 室温24℃

❷PL1=PL2=125W

❸AUTO(デフォルト設定)

❶「Intel Baseline Profile」❷PL1=PL2=125W❸AUTO(デフォルト設定)の場合、CPUの温度や「サーマルスロットリング」の有無、最高温度、そしてゲームのスコアなどが大きく変動します。

 

「14900K」という高性能を期待するにふさわしいハードウェアにもかかわらず、「Intel Baseline Profile」の性能はエントリーCPU「Core i5-14500-AUTO」と同等になってしまいます。

 

破損したと思われるCPUを再度「14900K」に買い替えるという方法もありますが、性能が十分発揮されない以上、これは根本的な解決策とは言えません。

 

オーバークロッカー向けの「14900K=無制限設定(4095W)」などに対して、早急な改善策が待たれます。

総評

マザーボードの「デフォルト設定」が「オーバークロック設定」として扱われることには驚きました。

 

クロック耐性が高いとしても、それほどの設定はやり過ぎだと感じました。

 

ゲームが起動しただけでも一安心していましたが、3年間の保証があることを思い出し、販売店インテル社に問い合わせて交換を検討しています。

 

現在、何らかの不具合が発生しているのであれば、交換をすぐに行うことをオススメします。

 

交換後には、安定したBIOSの適用やPL(電力リミット)設定の変更をオススメします。

 

追記:2024.05.07

CPUの画像(CPU&MBソケット焼け、物理破損はありません。)を添付し、販売店に相談したところ、販売店もCPUの交換が望ましいとの回答をいただいています。

 

しかし、メーカー側は正式に不具合を認めていないため、修正されたBIOSアップデートを待つことが現時点で最善の選択肢のようです。

 

何か進展がありましたら、追って報告いたします。

 

 

お目通し戴き、ありがとうございました。

AD: N.K

 

関連商品
トレンドアイテム