今回ご紹介するのは2022年10月12日に発売されたNVIDIA社「NVIDIA GeForce RTX 4090=以下、RTX 4090」です。
価格は1599ドルです。
スペックは以下の通りです。
GPU | RTX 4090-FE | RTX 4090-TUF | RX7900XTX | RX6950XT | RTX 3090 |
コア数 | 16384 | 16384 | 6144 | 5120 | 10496 |
ゲームクロック | 2230 MHz | 2565 MHz | 2300 MHz | 2100MHz | 1400 MHz |
ブーストクロック | 2520 MHz | 2595 MHz | 最大2500 MHz | 最大2310MHz | 1700 MHz |
メモリ | 24 GB | 24 GB | 24 GB | 16 GB | 24 GB |
メモリ種類 | GDDR6X | GDDR6X | GDDR6 | GDDR6 | GDDR6X |
バス幅 | 384-bit | 384-bit | 384-bit | 256-bit | 384-bit |
メモリ帯域幅 | 1008 GB/S | 1008 GB/S | 960 GB/s | 576 GB/S | 936 GB/S |
TDP/BP | 450 W | 450 W | 355 W | 335 W | 350 W |
「RTX4090-FE」と「RTX4090-TUF」の基本構成はほぼ同じですが、「ベースクロック」と「ブーストクロック」が「RTX4090-FE」では少し下がります。
一方、「RTX4090-TUF」は「ベースクロック」と「ブーストクロック」を若干上げた分、熱量が増加し、そのため冷却機構が拡大されてボディサイズが大きくなります。
「RTX4090-FE」と「RTX4090-TUF」のスペック差は僅かですが、実際の性能差を検証していきます。
- 「ITXケース」に「RTX4090」が入る!
- 「NVIDIA GeForce RTX 4090」の特長
- 開封の儀
- 外観
- 「NVIDIA GeForce RTX 4090」をチェックする
- 換装の際の準備
- ドライバをインストール
- 「NVIDIA GeForce RTX 4090」のスコア検証
- 使ってみた感想
- 良かったところ
- 残念な点、注意する点
- 総評
- 主な仕様
- 関連商品
- トレンドアイテム
「ITXケース」に「RTX4090」が入る!
今回は筆者がコレクションする「Mini-ITXケース」の一つであるFormd社の「T1 V2.0」が押し入れに眠っていて、何とか活用できないか考えたところ、NVIDIAの純正モデルである「Founders Edition」の「NVIDIA GeForce RTX 4090」に目を留め、個人輸入してみました。
「RTX4090-FE」を個人輸入し、「T1 V2.0」に組み込んでみることです。
この試みを通じて、「SFF(Small Form Factor)ファン」にその魅力を広める一助となれば幸いです。
最近のグラフィックボードはますます「巨大化」しており、昔の「Mini-ITXケース」では収まりきらないほどです。
このため、「Mini-ITX」と「Micro ATX」の両方に対応できるケースがますます需要されています。
そもそもグラフィックボードには、「リファレンスモデル」と「カスタムモデル」の2つのタイプがあります。
「リファレンスモデル」は、GPUメーカーが設計した標準モデルであり、安定した動作が特徴です。
一方、「カスタムモデル」は、販売メーカーが独自のデザインを追加して製造され、性能が向上しますが、発熱量も増加します。
最新の一般的な「カスタムモデル」である「RTX4090」は非常に巨大であり、「Mini-ITX」のPCケースではほとんど使えません。
そのため、「Founders Edition」は小型でありながら、ビジュアル的にも一般的に受け入れやすいデザインを採用しています。
また、サイドには配線やコンデンサーなどが細かく配置されたカスタムモデルとは異なり、見た目の乱雑さがありません。
「Founders Edition」は日本ではまだ発売されていませんが、「ITXケース」に収めるために個人輸入しました。
PCサンプルケースとして、Formd社の「T1 V2.0」に「RTX4090」を組み込んでみました。
ギュッと詰め込みましたが、「SFFファン」として換装できた喜びは計り知れないものがあります。
エアフローに気を使いながらも、小型PCケースで運用していくことが、筆者は『SFF界』の醍醐味だと考えます。
「Founders Edition」は小型化と一般受けしやすいビジュアルがメリットですが、デメリットもあります。
例えば、性能面では「ベースクロック」と「ブーストクロック」がカスタムモデルに比べてやや抑えられています。
また、冷却性能も若干、カスタムモデルに比べてやや抑えられています。
そのため、「Founders Edition」は長寿命、高耐久を重視します。
一方、カスタムモデルはとことん最高のパフォーマンスを優先すべく冷却性能を重視し、ボディサイズを大型設計に施しています。
発売から時間は経っていますが、「ITXケース」に収めたいという一心にかけて、「Founders Edition」の「NVIDIA GeForce RTX 4090」を購入し、その性能や特徴についてレビューしていきたいと思います。
お時間がございましたら目を通していただけると幸いです。
【ミニマリストはボタンも嫌う?!】FormD社 PCケース「T1」をレビュー
【こういうので良いんだよ!】FormD社 PCケース「T1 v2」をレビュー
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「NVIDIA GeForce RTX 4090」の特長
❶ 超大型GPUクーラー・・・3スロットを占有する超大型GPUクーラーを搭載しています。
120mm径の大口径ファンが表裏に1基ずつ搭載され、高い冷却性能を実現しています。
❷ ブラケット部のデザイン・・・画面出力端子はDisplayPort×3基とHDMI×1基で構成し、3スロットを占有するブラケットには大きな通気口が設けられています。
❸ 着脱可能なフレーム・・・グラフィックボード後部のフレームは一部が着脱可能です。
マグネットで固定されたパネルを外すと、グラフィックボードの固定に利用できるネジ穴が設置されています。
❹ 補助電源コネクタ「12VHPWR」・・・グラフィックボードの上部には12+4ピンの「12VHPWR」を1基搭載し、PCIe 5.0世代のグラフィックボード向けに設計された新しい電源コネクタを採用しています。
最大600Wの供給が可能で、PCIe 8ピン電源コネクタを12VHPWRに変換するアダプタも同梱されています。
開封の儀
内容物
変換アダプター
外観
「NVIDIA GeForce RTX 4090」をチェックする
「Founders Edition」はNVIDIA純正モデルです。
ボディは金属製で覆われています。
前面と背面にそれぞれ1基の冷却ファンを搭載したGPUクーラーを備えています。
ファンの外径は「115mm」です。(実測)
サイドには配線やコンデンサーなどが細かく配置されたカスタムモデルとは異なり、見た目の乱雑さがありません。
ファンのブレードが外枠と一体成型された「ヒートシンク」を通って熱を排出し、効果的な冷却が行われます。
またGPUへの負荷が低い場合はファンの回転を停止する機能を備えています。
次はインターフェース周りを見てみます。
「ディスプレイポート」が3つ、「HDMI」が1つ装備しています。
「補助電源コネクタ」は1基の16ピンタイプの「12VHPWR」を使用します。
基板の短さにより「補助電源コネクタ」はグラフィックボードのほぼ中央に配置されています。
グラフィックボードの裏側には、不思議な仕掛けが隠されています。
一部のフレームが取り外し可能です。
マグネットで固定されたパネルを取り外すと、そこにグラフィックボードを固定するためのネジ穴が現れます。
このような構造は、初めて見る人には普通の機能に見えるかもしれませんが、 NVIDIAの「Founders Edition」では、装飾フレームでこれを覆い隠すことで、ビジュアルに対するこだわりが感じられます。
これは単なる機能だけでなく、NVIDIAがのグラフィックボードのデザインに情熱を持ち、ユーザーに美しさと機能性の両方を提供しようとしていることを示しています。
それでは「NVIDIA GeForce RTX 4090」のスコアを見ていきます。
換装の際の準備
グラフィックボードを取り換えるときに古いドライバの削除をおススメします。
ドライバをインストール
グラフィックボードを換装したら「GeForce」ドライバをダウンロードしインストールします。
「NVIDIA GeForce RTX 4090」のスコア検証
PC構成
【PCケース】「Fractal Design North Charcoal Black」
【CPU】INTEL社「Core i9-14900K」
【マザーボード】ASUS社「ROG STRIX Z790-I GAMING WIFI」
【メモリ】CORSAIR社「VENGEANCE DDR5, 6000MHz 32GB(16GBx2)」
【GPU】NVIDIA社「 Founders Edition「NVIDIA GeForce RTX 4090」
【PSU】CORSAIR社「Corsair RM1000e」
【AIO】ASUS社「ROG RYUJIN II 240」
【Ver】GeForce 551.61
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GPU | RTX 4090-FE | RTX 4090-TUF | RX7900XTX |
コア数 | 16384 | 16384 | 6144 |
ゲームクロック | 2230 MHz | 2565 MHz | 2300 MHz |
ブーストクロック | 2520 MHz | 2595 MHz | 最大2500 MHz |
メモリ | 24 GB | 24 GB | 24 GB |
メモリ種類 | GDDR6X | GDDR6X | GDDR6 |
バス幅 | 384-bit | 384-bit | 384-bit |
メモリ帯域幅 | 1008 GB/S | 1008 GB/S | 960 GB/s |
TDP/BP | 450 W | 450 W | 355 W |
3D MARK
GPU別スコア
GPU別スコア
「フォースポークン」-「デフォルト設定」
「平均フレームレート」
「Call of Duty: Modern Warfare 2」-「デフォルト設定」
「平均フレームレート」
「Horizon Zero Dawn」-「デフォルト設定」
「平均フレームレート」
「zombie army 4」-「デフォルト設定」
「平均フレームレート」
「アサシン クリード ヴァルハラ」-「デフォルト設定」
「平均フレームレート」
「ファークライ5」-「デフォルト設定」
「平均フレームレート」
ゴーストリコン・ブレイクポイント-「デフォルト設定」
「平均フレームレート」
ディビジョン2-「デフォルト設定」
「平均フレームレート」
SHADOW OF THE TOMB RADER-「デフォルト設定」
「平均フレームレート」
デウスエクス マンカインド・ディバイデッド-「デフォルト設定」
「平均フレームレート」
strange brigade-「スケール150%」
「平均フレームレート」
ゴーストリコン ワイルドランズ-「デフォルト設定」
「平均フレームレート」
トータルスコア、ゲームスコア(3D MARK、blender-省略)
ゲーム中の消費電力(Watt)
高負荷時3DMARK 「FIRESTRIKE」(Temp)
以上、「NVIDIA GeForce RTX 4090」のスコアでした。
使ってみた感想
「RTX4090-FE」を使って軽くゲームを一通り試しましたが、「RTX4090-TUF」と比べて体感的な違いはほとんどありませんでした。
しかし、このような結果が得られた背後には、それぞれのモデルが異なるメリットを持っていることが考えられます。
「RTX4090-TUF」が強力な冷却性能と頑丈なボディを誇っているのに対し、「RTX4090-FE」はボディサイズが小さいため、エアフローが良好で、GPU温度が比較的低くなるというメリットがあります。
冷却性能を見てみます。
「Cinebench 2024」を使って「10分間連続」で実行します。
それでは「GPU温度」を見てみます。(室温15℃)
「GPUスコア」は「31861」です。
前面と背面にそれぞれ1基の冷却ファンを搭載した強力な冷却機構によって「40℃前後」で安定します。
次は、もっと高負荷なゲーム(フォースポークン)で試してみます。
「フォースポークン」の最高画質設定では、「3840×2160ネイティブ」の解像度でプレイし、さらにプリセットを「最高」、レイトレーシングを「ON」としています。
驚くべきことに、この高負荷の設定でも、グラフィックボードの温度は驚くべき安定感を示しています。
「RTX4090」のGPUは、高負荷下でも「50℃台」をキープし、パフォーマンスの低下を最小限に抑えています。
優れた冷却性能により、長時間快適にゲームを楽しむことができます。
ファンの騒音も非常に静かであり、プレイ中に不快な騒音に悩まされることはありません。
静かな環境で、没入感あるゲーム体験を追求するプレイヤーにとって、非常に重要なポイントです。
フレームレートの安定性も非常に高く、「ネイティブ」設定では「95~85fps」の間でキープされます。 ただし、所々で「カクツキ」が発生することがあります。
しかし、「DLSS=クオリティ」に設定することで、この問題を解決し、安定したプレイが可能になります。
さらに、「DLSS=クオリティ」設定では、最低フレームレートが飛躍的に向上し、「75fps」を下回ることなく、快適なプレイが可能となります。
良かったところ
❶サイズが小さい・・・最近のフラッグシップのグラフィックボードの肥大化は深刻です。
2~3年前のITXケースに「RTX4090」を収めるには、「Founders Edition」がベストです。
❷機能美を追求したデザイン・・・ファンのブレードが外枠と一体成型された「ヒートシンク」が何とも美しいです。
ビジュアル的にも一般的に受け入れやすいデザインは、ミニマリスト向けとも言えるでしょう。
❸現行最強パフォーマンス性能・・・「RTX4090」は、旧世代よりも大幅にパフォーマンスが向上しており、レイトレーシングの性能も大幅に向上しています。
「DLSS 3.5」のサポートにより、現在のパフォーマンスが2倍に向上し、将来的にはさらに3倍または4倍に向上する可能性に期待できるでしょう。
❹レンダリング品質の向上・・・新しいシェーダーコアとTensorコアによって、より高品質なレンダリングが可能になりました。
「16Kシェーディングプロセッサ」の導入により、これまでの限界を超えたレンダリングが可能です。
❺「冷却設計」と「騒音レベル」・・・冷却設計は素晴らしく、高負荷下でも適切に機能します。
騒音レベルも通常の範囲内に収まっており、使用中の騒音は平均的です。
❻新しいテクノロジーの採用・・・「ADA GPUアーキテクチャ」の導入や「DLSS 3.5」のサポートなど、新しいテクノロジーの採用により、今後のゲーム体験が期待できるでしょう。
残念な点、注意する点
❶高消費電力・・・「RTX4090」は、ゲームや高負荷の使用時に高い電力を必要とします。
エネルギー効率が低く、エネルギー料金が高騰している昨今の中、問題が深刻化します。
❷市場での普及・・・「高価格」と「高消費電力」のため、一般消費者にとって魅力的な製品ではなく、比較的少数のエンスージアスト向けのグラフィックボードです。
❸「12VHPWR」PCIeコネクターが必須です。
付属の「12VHPWR」PCIeコネクター「8ピン×4」は必ず1本ずつ接続しましょう。
予算が許されるのであれば最新「ATX3.0電源ユニット」の導入をオススメします。
「12VHPWR」が1本で接続できます。
総評
発売から1年半が経過しましたが、今回はNVIDIA社の純正モデルである「RTX4090-FE」をレビューしました。
「RTX4090-FE」の最も際立った特徴の一つは、その「サイズ」と「機能美」に満ちたビジュアルです。
グラフィックボードの世代が進むにつれて、そのサイズもますます大きくなっています。
この傾向により、一部の「SFFファン」は「Micro-ATX」への移行に戸惑っています。
一方で、現在、「サイズ規格外」の数々の「Mini-ITXケース」は押し入れの奥で埃をかぶっています。
しかし、Founders Editionは依然として注目を集めており、その存在感は揺るぎません。
「Founders Edition」の存在により、「SFFファン」の間で「Mini-ITX」の魅力を再評価する動きが見られます。
筆者自身もその一員として、「Mini-ITX」の魅力をより多くのユーザーに伝えたいと強く考えています。
お目通し戴き、ありがとうございました。
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主な仕様
サイズ-304×137×61mm