今回ご紹介するのは2022年11月11日に発売されたASUS社のAMD社チップセットX670を搭載したMini-ITX「ROG STRIX X670E-I GAMING WIFI=以下X670EI」のゲーミングマザーボードです。
価格は79,800円です。(税込)
- チップセットは4種類ある!
- 進化した「Zen 4」は「すっぽん」しない!
- 「ROG STRIX X670E-I GAMING WIFI」の特長
- 開封の儀
- 外観
- 「ROG STRIX X670E-I GAMING WIFI」をチェックする
- 使ってみた感想
- 良かったところ
- 残念な点、注意する点
- 総評
- 主な仕様
- 関連商品
- トレンドアイテム
チップセットは4種類ある!
「Ryzen 7000シリーズ」のチップセットは「X670E」「X670」「B650E」「B650」と4種類あります。
簡単にスペック表を作成しました。
チップセット | PCI Express ×16 | M.2 SSD |
X670E | Gen5 | Gen5 |
X670 | Gen4 | Gen5 |
B650E | Gen5 | Gen5 |
B650 | Gen4 | Gen4 |
「X670」は2チップ構成なのでグラフィックボードとストレージ周りが非常に高速です。
特に妥協を許さない「エンスージアスト向け」です。
「B650」は1チップ構成で「ミドルスペック」から「ローエンド」と幅広くライトユーザー向けです。
進化した「Zen 4」は「すっぽん」しない!
「Ryzen 7000」より新規格ソケット「AM5」を採用しています。
「CPUピン」は廃止してインテルと同様に「LGA1718」に変わりました。
「CPUピン」が廃止することで「CPU」交換時に発生する「すっぽん」が解消されるのは嬉しいです。
「すっぽん」・・・CPUを交換の際にCPUクーラーをマザーボードから引き離すときCPUも一緒に抜けてしまう事故。
反対にマザーボード側に「ピン」を持つので事故リスクは変わりませんので好みが分かれるところです。
簡単に「AM5」と「AM4」の比較表を作成しました。
ソケット | AM5 | AM4 |
プロセス | 5nm | 7nm |
PCI Express | Gen 5 | Gen 4 |
メモリ | DDR5 | DDR4 |
プロセスが「7nm」から「5nm」に微細化されました。
イメージはこんな感じです。
プロセスとは半導体の回路線幅を指します。
プロセスが微細化するメリットとは・・・?
❶より高性能なプロセッサーを製造できる
❷パフォーマンス向上(処理性能が上がります)
❸消費電力や低発熱(ワットパフォーマンス)の省エネ化
❹製造コストの低下(小さなサイズでチップがたくさん載せられる)
の以上が期待できます。
微細化に成功した「CPU」は8Kや4Kなど強力な「グラフィックボード」と組み合わせれば超高速フレームレート化(240fps以上)に期待できます。
PCI Express | 帯域幅✕16(片側) |
Gen2 | 8 GB/S |
Gen3 | 16 GB/S |
Gen4 | 32 GB/S |
Gen5 | 64 GB/S |
こうしてスペックを見てみると新しいテクノロジーに触れてみたくなります。
しかし「AM4」から「AM5」へ移行するにはパーツの流用が利かないので、ほぼ全交換となり、かなり出費がかさみます。
「AM4」で満足しているのであれば無理に「AM5」へ移行する必要はありません。
「ROG STRIX X670E-I GAMING WIFI」の特長
❶10+2基の電源ソリューション(定格110A/ステージ)
❷Ryzenのゲーミング性能とコンピューティング性能を同時に最大化するダイナミックなクロック機能
❸ヒートシンクを積み重ねた設計で、M.2ドライブとマザーボードのチップセットを冷却
❹高品質のオーディオ、システムコントロール、I/Oを手元で操作
❺X16スロットと2つのオンボードM.2スロットはPCIe Gen 5に対応
❻6400 MT/s+、AMD EXPO、DRAM ICプロファイル、AEMP
❼デュアルUSB4 Type-Cポートが最大40Gbpsの双方向帯域幅に対応
❽ケーブルマネジメントを支援する革新的な拡張カードで、直角方向にI/Oを追加
❾ワンクリックでPCから発生する熱と騒音をバランスよく調整できるASUS独自の機能「AI Cooling II」
❿電波干渉の少ない新しい6GHz帯への高速接続が可能(ASUS社HPより引用)
開封の儀
内容物 Cables
2 x SATA 6Gb/s cables
1 x ROG USB2.0 splitter cable
1 x Panel Cable ROG FPS-II Card
1 x ROG FPS-II Card ROG STRIX HIVE
1 x ROG STRIX HIVE 1 x USB Type-C power connection cable
Additional Cooling Kit 1 x Thermal pad for M.2
Miscellaneous
1 x ASUS Wi-Fi moving antennas
1 x Cable ties pack
1 x Rubber Package(s) for M.2
1 x Q-Latch package(s) for M.2
1 x ROG key chain
1 x ROG Strix stickers
1 x ROG Strix thank you card
Installation Media
1 x User guide
外観
「ROG STRIX X670E-I GAMING WIFI」をチェックする
左「X670E-I」、右「X570-I」
「X670E-I」にはVRM用のヒートシンクのファンが搭載されてます。
「VRMヒートシンク」は背面のI/Oまで拡張して表面積を大きくして電力熱を効率よく排熱します。
また「電源ステージ」と「ヒートシンク」の間に冷却シートを挟みVRMの動作温度を下げることができます。
ファンは「60,000時間」の耐久性を持つベアリングを採用しています。
「フェーズ」を見てみます。
「10+2基」の「パワーステージの電源回路」を搭載しています。
「フェーズ」の数がハイサイドとローサイドの「MOSEFT」と「ドライバ」を1つにまとめることで、より強力な電源VRMが搭載されているので起動の安定性が良くなり、オーバークロックなどの耐性も上がります。
CPU用コネクタは「8ピン」です。
その近くにLEDを装飾する「RGBヘッダー」があり「USBヘッダー」「CPUファン」「AIOポンプ」も備えています。
コネクター系統は「X670E-I」のポテンシャルを最大限に活かすためにレイアウトが見直されました。
「USB3.2 GEN2」の近くに新しいインターフェースが追加されました。
限られたスペースに多数のインターフェース(ROGフロントSATAカード)を設置しています。
「SATA」「USB 2.0ヘッダー」「Clear CMOSヘッダー」「F-PANEL」「CPU過電圧ジャンパ」「Alterationモードスイッチ」が1ヵ所に集約できます。
音源は「ALC4050コーデック」と「ESSセイバー9260Q DAC」などの最高級オーディオハードウェアが搭載されています。
中央のロゴに2枚のM.2ストレージが換装できます。
順番に外してみます。
「2層構造」になっているのでM.2スロットを上に持ち上げると外れます。
限られたスペースを有効活用するために単一の「ヒートシンク」で「M.2スロット」と「チップセット」を同時に冷却します。
M.2を冷却する冷却シートが装備されています。
M.2を換装するとこんな感じです。
M.2を留めるネジを廃止して工具不要の「M.2 Qラッチ」が採用されています。
PCIeスロットを見てみます。
PCI Expressスロット部分には金属プレートを使用してます。
グラフィックボードの自重で垂れ下がらないだけでなく、グラフィックボードを換装の際に引き抜く力も通常の1.6倍の強度を実現。
とはいえ最近は年々に肥大化する「ハイエンドグラフィックボード」を支えなしで使うのはリスクが高すぎます。
ネットワーク周りを見てみます。
付属の「WiFi 6Eアンテナ」は安定して垂直に立てられます。
対応するバンドは「2.4 / 5 / 6GHz」です。
注意:「6GHz」は法令規制の都合で日本では対応していません。
Bluetoothは「バージョン5.2」まで対応します。
新しいデバイスの外部制御インターフェース「ROG STRIX HIVE」を見てみます。
「X670E」は多機能過ぎて通常のMini-Itxでは収まらなくなって「外付け」になりました。
持った感じズシっと重さがあります。
チープさはなく、しっかりした創りになっています。
背面は「マグネット」が施されているのでPCケース(鉄素材)に取り付けることができます。
「ヘッドセットジャック」、「3.5 mm光端子S / PDIF出力」、「マイク入力ジャック」はこちらに接続します。
「USB 3.2 Gen 2 Type-C」は外部ストレージと周辺機器を簡単に接続できます。
抜き挿しが頻繁にある場合には「ROG STRIX HIVE」を手元に置いておくと便利です。
最後に「Ryzen 9 7950X」を換装して完成です。
それでは起動して「BIOS画面」を見てみます。
「BIOS」の起動の仕方は電源投入時に「F2」を押し続けてください。
トップ画面になりPCスペックが確認できます。
「F7」を押して「詳細設定モード」に切り替えます。
メモリの「オーバークロック」は簡単操作で行えます。
CPU温度によって内部ファンをコントロールする「Q-Fan」を使って回転数を変更したり複数のファンを一括設定することができます。
もしも騒音が気になったら「サイレントモード」に設定おきましょう。
「Resizable BAR」は「UEFI」ならばデフォルト設定時では「有効」になっていますので、そのままお使いいただけます。
使ってみた感想
最初に気になったのは「Windows11」の起動時に表示される「ロック画面」でパスコードを求められますが「USB」の認識に「1~2分」くらい待たされます。
急いでいるときは、かなりストレスです。
今まではすぐ認識したので違和感があります。
外部制御インターフェース「ROG STRIX HIVE」を試しましたが「音量コントローラー」が反応しません。
認識はしていますが「音量コントローラー」が正常に反応してくれません。
「USB」は1基のみですが頻繁に抜き挿しする場合は便利です。
筆者は「音量コントローラー」として使いたかったので残念です。
「ROG STRIX HIVE」の点以外は特に「グリーンスクリーン」になることなく、いつも「安定のASUS」です。(まだ使用時間が短いため不具合は今のところありません。)
良かったところ
❶徹底した最新X670Eプラットフォームは「PCIe 5.0」「DDR5」を駆使し「5.0パワー」のゲーム体験が整えられる。
❷定格110Aの「16 + 2」のパワーステージを備え並外れた電力効率を扱うことができる。
堅牢なパワーソリューションを備えた「X670E-I 」は最新最強であり次世代「AMD Ryzen CPU」にも対応できるように構築されている。
❸新世代メモリ「DDR5RAM」によって得られる膨大な帯域幅、新しい速度を体験できる。
❹「Alteration(変換)モードスイッチ」が便利です。
「Alterationモード」を使うと「CPU」からの「PCIe信号」をPCIeスロットの「Gen4」または「Gen3 」の間で切り替えることができます。
例えば「PCIeライザーケーブル」が「Gen3 」の場合には「BIOS画面」にて「Gen4」から「Gen3 」に切り替えないといけません。
「内蔵GPU」がない場合は「BIOS画面」を映すためだけに一旦「Gen3 」のグラフィックボードを換装して「Gen4」から「Gen3 」に切り替える必要がありました。
その手間が省けるだけでも、かなり助かります。
残念な点、注意する点
❶拡張カード(ROGフロントSATAカード)はMini-Itxケースではケーブルマネジメントしづらい場合があります。
❷「ROG STRIX HIVE」の音量コントローラーに不具合がありました。
❸旧世代メモリ「DDR4」は対応しません。
❹価格が高いです。
遂に「Mini-Itxフラグシップマザーボード」が8万円になりました。
少し前ならば「Extremeフラグシップマザーボード」が8万円くらいでしたので最近のMini-Itxマザーボードは高くなったと痛感します。
❺10ギガビットLANはありません。
高額なのにネットワーク周りが弱いです。
総評
「X670E-I」は「ROG STRIX HIVE」を設けることで限られたスペースに多機能、最新テクノロジーをギュッと凝縮した超高性能マザーボードが誕生しました。
「×2チップ構成」など妥協なく創造された「X670E-I」は「SFFファン」にとって十分に所有欲を満たしてくれます。
よほど欲しい機能、性能を求めない限りチップセット「X670E」をわざわざ「Mini-Itx」で構成する必要ありません。
自作PCとは「ロマンの世界」です。
「ROG STRIX X670E-I GAMING WIFI」と共に新しいテクノロジーを楽しみませんか?
お目通し戴き、ありがとうございました。
AD: N.K
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https://twitter.com/BooStudio_blog
主な仕様
チップセット AMD X670E
CPUソケット SocketAM5
フォームファクタ Mini ITX
メモリタイプ DIMM DDR5
メモリスロット数 2
最大メモリー容量 64GB
幅x奥行き 170x170 mm
PCIスロット PCI-Express 16X
VGAスロット PCI-Express
SATA 2 本 Serial ATA SATA6.0G
M.2ソケット数 2
M.2サイズ M key:type 2242/2260/2280
HDMIポート数 1
USB USB3.2 Gen2 Type-Ax5 USB2.0x3 USB4 Type-Cx2
VRMフェーズ数 10+2
一体型 I/O バックパネル
無線LAN IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax
Bluetooth
LAN 1 個
オンボードLAN 10/100/1000/2500
オンボードRAID
オンボードオーディオ Realtek ALC4050