今回ご紹介するのは2023年7月に発売されたMini-Itx小型PCケースNCASE社「M1 evo v1.0=以下、M1 EVO」です。
価格は265ドルです。(発売当初)
現在は「v1.0」が生産終了して「V1.1」にバージョンアップしました。
対応マザーボードは「Micro-ATX / Mini-ITX / DTX / Deep-ITX」になります。
NCASE社「M1 EVO 」のHPはこちら
ラインナップは以下の通りです。
ケースラインアップは全4種類用意しています。
カラーバリエーションは「ブラック」「シルバー」の2種類です。
レイアウトは1台でライザーケーブルを用いた「サンドウィッチ」と「リファレンスレイアウト=直挿し」の2パターン構成が可能です。
また上下反転などパーツに応じて様々なエアフローを最適化することができます。
- 「M1 EVO」の特長
- 開封の儀
- 外観(完成)
- Formd T1のDNAを引き継ぐ!
- 組み立て作業開始!
- 使ってみた感想
- 良かったところ
- 残念な点、注意する点
- 総評
- 主な仕様
- 関連商品
- トレンドアイテム
「M1 EVO」の特長
「M1EVO」はSmall Form Factor(SFF)のアイコンである「M1 Classic」のリマスター版です。
「FormD」の製造支援により実現されたこの製品は、「M1 Classic」よりも素材がアップグレードされ、3つのレイアウトをサポートするように設計されています。
「互換性」、「熱天井」と製造品質において大きな改善がされています。
主な仕様としては「3-15mm」のアルミニウム素材を使用し「CNC加工」および「アノダイズ処理」が施された製品本体と「1.0mm」の鋼材を使用し「パウダーコート仕上げ」のサイドパネルが含まれます。
サイズは「366×160×256mm(長さ×幅×高さ)」、容積は「14.99リットル=約15L」です。
開封の儀
外観(完成)
Formd T1のDNAを引き継ぐ!
フロントパネルの塗装はサラサラしており、色むらのない高品質な塗装技術が感じ取れます。
また、アルミパネルの厚みが増し、ボディの剛性がFormd社「T1 v2」と比べて向上したと感じます。
完成形ですが大きさを見てみます。
「M1 EVO」の容量は「15L」です。
「M1 EVO」のサイズは「W16mm x H25.6mm x D36.6mm」になります。
ちょっと並べてみます。
右、Formd社「T1 v2」・・・W135mm×D335mm×H220mm
この比較から「T1 v2」と比べると、約二回り大きく感じます。
ASUS社の「TUF-RTX4090-O24G-GAMING」など、標準的なサイズの「RTX4090」が収まることを考慮すると、「M1 EVO」はウルトラハイエンドVGAが収まる最小ケースと言えるでしょう。
右、「C4-SFX」・・・W216mm ×D398mm×H311mm
「C4-SFX」と比較すると「M1 EVO」はわずかに背が低く、全長がわずかに長くなります。
それではパーツを1つずつ組み立てていきます。
組み立て作業開始!
取扱説明書は同梱されていませんが、NCASE社のサイトに組み立てマニュアルが用意されていますので、順番に組み立てていきます。
ただし、作業説明のため、パーツの手順が前後する場合がありますので、ご了承ください。
まず最初に決めておかなければならないのは・・・
①「空冷クーラー / 簡易水冷」+「4スロットVGA」
②「大型空冷クーラー」+「4スロットVGA」
③「本格水冷」+「4スロットVGA」
④「本格水冷」+「水冷VGA」
の構成によって使うパーツや順番が変わってきますので、あらかじめ構成を決めてから組み立てていくと良いでしょう。
筆者は①「簡易水冷」+「4スロットVGA」の構成で組み立てていきます。
PC構成
【PCケース】「M1 EVO v1.0」
【CPU】AMD社「7950X3D」
【マザーボード】ASUS社「ROG STRIX X670E-I GAMING WIFI」
【メモリ】CORSAIR社「DOMINATOR PLATINUM RGB 32GB 2x16GB DDR5 DRAM 6200MHz」
【GPU】ASUS社「TUF-RTX4090-O24G-GAMING」
【PSU】コルセア社「SF750 Platinum」
【AIO】EK社「EK-AIO Basic 240」
【ファン】Thermalright社「TL―B12 120mm」
組み立てマニュアルはこちら
「T1 v2」とは異なり、あらかじめ複数のパーツが最初から組み込まれているので、パーツの点数がさらに減り、組み立てがより簡単になりました。
最初に「フロントパネル」「リアパネル」「マザーボードトレイ」を固定します。
4か所のネジを締めると、このようになります。
「フロントIO」に4本のケーブルを並べて固定します。
このアダプターは外部のType Cメスからオスへのケーブルに接続するために設計されています。
前面に4つもUSBを備えているので頻繁な抜き差しが楽です。
「電源ユニット」に「ブラケット」を取り付けます。
「電源ユニット」を固定する際には、あらかじめ「ファンブラケット」を外しておきます。
取り付けると、このようになります。
「電源延長ケーブル」を取り付けます。
簡易水冷クーラーは以下の写真のように取り付けます。
「ファンブラケット」は組み立てパターンによって使い分けます。
「マザーボードトレイ」には2つの追加固定ネジを取り付けます。
「空冷クーラー」の場合は、上の位置で固定します。
「簡易水冷クーラー」の場合は、「ファン+ラジエーター」のスペースを確保するため、下の位置で固定します。
グラフィックボードを垂直に設置する場合は、プレートを取り外してください。
「ボトムパネル」に「ゴム足」を取り付けます。
「PCIeブラケット」と「PCIeケーブル」を取り付けます。
「PCIeブラケット」と「PCIeケーブル」の取り付けは最後に行うと、位置が分かりやすくなります。
ひと通り組み立てると、このようになります。
「RTX4090」を換装する前に「柵」を外します。
「グラフィックボード」との接触を防ぐために、マスキングテープを貼り付けて傷をつけないようにしましょう。
「柵」を外すことで、グラフィックボードを簡単に取り付けることができます。
マザーボードのVGAスロットに「PCIeケーブル」を挿し込み、同時に「PCIeブラケット」も取り付けてください。
「電源ケーブル類」を整理しながらまとめて収納します。
「ボトムパネル」を取り付けて、組み立てが完了しました!
「電源ユニット」のスペースに余裕があるため、全長130mmの「SFX-L」も簡単に取り付けることができます。
最後に「サイドメッシュパネル」をはめて完成です!
細かなパーツはあらかじめ組み込まれていたため、組み立てにかかる所要時間は約3時間ほどでした。
使ってみた感想
組み立てが完成して気づいたことですが、「全方位メッシュパネル」を採用しているにもかかわらず、リアの開口部が大きく開いており、これによってエアフロー効率が向上しました。
最初はインテリア的には開口部をDIYで塞ごうと考えましたが、ハイエンドパーツを最大限に活かすために、そのままにして冷却性能を重視することにしました。
早速、冷却性能を検証してみます。
「Cinebench 2024」ベンチマークを使用して「M1 EVO v1.0」の冷却性能を確認してみます。
「Cinebench 2024」のベンチマークを「10分間連続」で実行します。(室温11℃)
GPUスコアは「32982」、マルチスコアは「1904」、シングルコアは「108」となりました。
「CPU」の温度は「MAX:79.3℃」で、平均は「75℃」となり、十分に冷却されていることが確認されました。
驚くことに、「GPUホットスポット温度」は「MAX:51.3℃」で、平均は40℃台前半という、ほとんど熱くならないほどエアフロー効果が活かされています。
PC外部の様子はこのようになります。
リアパネルの広大な開口部による効果が大きく反映されていると考えられます。
良かったところ
❶CNCアルミニウムシャーシは堅牢で高品質なCNCアルミニウムシャーシが特徴で、耐久性があります。
❷空冷と液冷の両方のサポートしている。
空冷および液冷システムのどちらでも利用可能で、冷却の柔軟性があります。
❸ITXとmATXの両方のマザーボードサポートしている。
ITXおよびmATXの両方のマザーボードをサポートすることで、異なる構成オプションを提供しています。
❹ボディの塗装はなめらかで、各アルミニウムパーツがしっかりとした厚みで全体的にボディの剛性を向上させています。
❺パーツの数は「Formd T1」と比較してさらに少なく、組み立てにかかる時間を大幅に短縮できます。
❻ 大容量のストレージが換装可能です。
最大9台の2.5インチドライブまたは3台の3.5インチドライブの構成・・・この場合、使用するコンポーネントに応じて、最大で9台の2.5インチドライブまたは3台の3.5インチドライブを取り付けることができます。
最大15台の2.5インチドライブまたは5台の3.5インチドライブの構成(別途キットが必要)・・・別途キットが必要ですが、特定の構成においては、より多くのドライブを追加できます。
最大で15台の2.5インチドライブまたは5台の3.5インチドライブをサポートしています。
このオプションにより、ストレージの拡張性が向上します。
残念な点、注意する点
❶ mATXマザーボードを搭載する際にはいくつかの制約が生じます。
主なものはリファレンスレイアウトと空冷であり、これにより拡張性が制限されます。
❷ 「PCIeケーブル」を使用する際、CPUクーラーの総高は「50mm以内」に制限されます。
特に「Low Profile Cooler(低プロファイルクーラー)」の場合はサイズ確認が必須です。
❸ 「反転 / 反転レイアウト」は注意が必要です。
「反転 / 反転レイアウト」では「全高135mmサイドクーラー」の真上にファンブラケットを取り付けることができず、慎重な取り扱いが必要です。
❹ サイドケースファンの制約があります。
サイドケースファンを取り付ける場合、「全高135mmサイドクーラー」の真上に取り付けることができず、制約が生じます。
総評
「M1EVO」は優れたブティックITXケースですが、mATXマザーボードの使用時に一部制約が生じ、冷却設定の選択によってはパフォーマンスに影響があります。
高品質な製造材料、冷却オプションの柔軟性、異なるマザーボードフォーマットのサポートを組み合わせ、「M1EVO」はユーザーに優れた選択肢を提供します。
特にエントリー価格のITXマザーボードの需要が高まる中、競争力のある製品と言えます。
ただし、現時点では海外サイトのみでの販売となっており、国内での入手が難しいです。
それでも「M1 EVO」は個人輸入の一環として検討する価値があります。
年末年始は「M1 EVO」と共に過ごしてみませんか?
お目通し戴き、ありがとうございました。
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主な仕様
寸法・・・W160mm ×D366mm×H256mm
重量・・・3.5kg
容量・・・14.9L
GPUサイズ・・・
❶M1構成:142 x 359mmまで、4スロット対応(Nvidia 4090 Founders Editionは180度のアダプターが必要)
❷M1反転構成:142 x 359mmまで、4スロット対応(Nvidia 4090 Founders Editionは180度のアダプターが必要)
❸M1垂直GPU構成:165 x 359mmまで、4スロット対応(別途キットが必要)
CPUクーラーサイズ・・・
❶M1構成:4スロットGPUで最大高さ135mmまで
❷M1反転構成:4スロットGPUで最大高さ135mmまで
❸M1垂直GPU構成:4スロットGPUで最大高さ50mmまで
Power Supply・・・
❶SFX電源
❷SFX-L電源
❸ATX電源(別途キットが必要で、270mmより長いGPUに対しては最大140mmの深さのATX電源に制限があります)