今回ご紹介するのは2023年6月9日に発売されたFractal Design社 小型PCケース「Terra」です。
価格は37,400円です。(税込)
カラーバリエーションは「Jade」「Graphite」「Silver」の3色を用意しています。
「Terra」の特長
❶デザインと素材・・・アルマイト加工厚板やウォルナット無垢材を使用し、ブティックデザインの特徴を備えています。
8mm厚のアルマイト加工フロントパネルとウォルナット無垢材製フロントパネルがエレガントな外観を提供します。
❷GPUの収納・・・最大322mmの高性能GPUを10.4Lケースの省スペースに搭載可能です。 (ブラケットは含まれません)
❸内部アクセスと操作性・・・内部はアクセスしやすく、スライド式の中仕切りと高性能GPUを搭載するスペースが確保されています。
サイドパネルを扉のように開いたり、内蔵のつまみで上部をスライドさせて簡単に内部を操作できます。
❹冷却効果と通気性・・・トップ、サイド、ボトムパネルに通気孔があり、自然な空気の流れを取り込むように設計されています。
内部に通気孔があり、PCに簡単にアクセスできます。
❺ゲーム環境とデザイン・・・SFF(スモールフォームファクタ)ゲーミング向けのデザイン。
ウォルナット無垢材を使用したフロントパネルがナチュラルな空間を演出します。
❻拡張性と機能・・・PCIe 4.0ライザーケーブルが付属し、環境構築を迅速に開始できます。
2.5インチ専用ドライブマウントで最大2台のSSDを収納可能。
調整可能なマザーボードプレートで理想のバランスを実現します。
❼フロントI/Oと安全性・・・アルミニウム製の電源ボタンとUSB Type-C 20Gbps×1を含むフロントI/Oが搭載されています。
トップパネルとサイドパネルはロック可能で、組み立て後も安全に持ち運べます。
開封の儀
内容物
Terra, 付属品ボックス , ユーザーマニュアル
外観
「Terra」をチェックする
早速、本体のウッド部分を触ってみます。
「Terra」は「アルマイト加工厚板」や本物の天然木材「ウォルナット無垢材」など、洗練されたブティックデザインの素材を組み合わせています。
「ウォルナット無垢材」は金属製にはない温かみを感じられます。
塗装は「マットブラック」で、触感として、しっとりした肌触りなので汚れが付着しやすい表面に思います。
類似するFormD社「T1 v2」と並べてみます。
もしも、よろしければ、目を通していただけると幸いです。
【こういうので良いんだよ!】FormD社 PCケース「T1 v2」をレビュー
実物を見ると思ったよりも小さく感じます。
それでは、本体のサイズを見てみます。
「Terra」のサイズはW153mm ×D343mm×H218mmになります。
右側はFormD社の「T1 v2」で、サイズはW135mm × D335mm × H220mmです。
「FormdT1」よりも「Terra」の方が全高は低く横に広いですが、容量はほぼ同じです。
フロントI/Oには「USB Type-C 20Gbps(USB3.2 Gen 2x2)」、「USB Type-A 5Gbps(USB 3.0)」、「電源ボタン」を備えています。
各コネクタは「Power SW」「USB Type-A 5Gbps」「USB Type-C 20Gbps」を備えています。
フロントパネルを外します。
外し方は「フロントパネル」に革製の取っ手があるので引っ張ると外せます。
サイドパネルはパネル真ん中を下から上へ持ち上げると開きます。
開くとこのようになります。
「ガルウィング」のように開きます。
「サイドパネル」を上げるとヒンジ部分にレバーがあり、横に「スライド」させると外せます。
「トップパネル」と「サイドパネル」を外すとこのようになります。
「フロントパネル」の裏側に「SSD2.5インチ」を換装することができます。
また、「ボトム」にも「SSD2.5インチ」を1基、備えることができます。
さらに、「SSD2.5インチ」に代わって「120mmファン」も取り付けることができます。
次は「可動式マザーボードトレイ」を設定します。
「オレンジキャップ」の「ネジ」を外すと「ゲージ」が表示されています。
「可動式マザーボードトレイ」の目安は以下の通りです。
【PCケース】Fractal Design社「Terra」
【CPU】AMD社「Ryzen 5 7600X」
【マザーボード】ASUS社「ROG STRIX B650E-I GAMING WIFI」
【メモリ】CORSAIR社「VENGEANCE DDR5, 4800MHz 32GB(16GBx2)」
【GPU】NVIDIA社「GeForce RTX 4060 Ti 8GB」
【PSU】CORSAIR社「SF600」
【CPUクーラー】Noctua社「NH-L12 Ghost S1 Edition」
筆者は「3番」の構成に合わせます。
「オレンジキャップ」はトップに2か所、ボトムに2か所のネジを緩めて水平にスライドさせます。
可動幅が大きく調整できるため、将来的に大きめのグラフィックボードを換装する場合でも、その都度、「サイズ」に合わせて換装できるので非常に便利です。
「電源ユニット」を取り付けます。
「SFX / SFX-L」に対応します。
2か所の「ネジ」を外して「ブラケット」を外します。
そして、「ブラケット」に「電源ユニット」を取り付けたら元に戻します。
もし「120mmファン」を取り付けている場合は、あらかじめケーブルを束ねておくと良いでしょう。
次に「マザーボード」を取り付けます。
マザーボードを取り付けたら、「PCIeライザーケーブル」を挿しておきます。
「PCIeライザーケーブル」の裏側には「SSD M.2」ソケットの位置があるので、交換時には、わざわざ「マザーボード」を外すことなく「SSD M.2」を取り付けることができます。
「グラフィックボード」を取り付けます。
状況によっては「VGAブラケット」を外すことができます。
「グラフィックボード」のサイズ表をご参照ください。
「グラフィックボード」を取り付けると、このようになります。
最後に「トップパネル」「サイドパネル」を取り付けて組み立て完了です。
「リア」と「トップ」はこのようになります。
ケースは小さいながら内枠と外枠の隙間(スペース)に余裕があるので「トップパネル」、「サイドパネル」が閉まらないといったトラブルはありません。
所々に「デッドスペース」が存在するので、「創意工夫」をこらしながら理想的なエアフローを創り上げる楽しさがあります。
使ってみた感想
早速、ベンチマークソフト「Cinebench 2024」を使ってPC内部の温度を測ってみます。
PC構成
【PCケース】Fractal Design社「Terra」
【CPU】AMD社「Ryzen 5 7600X」
【マザーボード】ASUS社「ROG STRIX B650E-I GAMING WIFI」
【メモリ】CORSAIR社「VENGEANCE DDR5, 4800MHz 32GB(16GBx2)」
【GPU】NVIDIA社「GeForce RTX 4060 Ti 8GB」
【PSU】CORSAIR社「SF600」
【CPUクーラー】Noctua社「NH-L12 Ghost S1 Edition」
【Ver】GeForce 550.09
「Resizable BAR」は有効にしています。(室温12℃)
「パネル」の有無が冷却性能に与える影響を検証します。
GPUスコアは「11802」、CPUマルチスコア「799」、CPUシングルスコア「113」となりました。
3D MARK
パネル別スコア
パネル別スコア-「CPU」
パネル別スコア-「GPU」
パネル別スコアを見てみますと「パネルなし」の方が若干、温度が下がりスコアも上がります。
スコア差が大きく開いていない結果を見るとパネルを閉じてPCを稼働してもエアフローが適切に処理されて冷却性能に大きな影響を与えないことが分かりました。
次はサーモグラフィ画像で見てみます。
「GPU側」
「CPU側」
「トップ」
十分なエアフローが適切に処理されているせいか、「騒音」が気になります。
パーツの選定次第ですので、騒音が気になったら、なるべく「静音重視パーツ」を使用すると良いでしょう。
組み立て難易度については、ケーブルマネジメントにおいては少し苦労します。
ボトムファンを取り付けないのであれば、さほど難しくはないですが、「ボトムファン」の有無がエアフローに大きな影響を与えるので、「ボトムファン」の設置をオススメします。
ケーブルの取り回しのコツとして、なるべく「遠回り」もしくは「折り重ね」が望ましいです。
もしもケーブルマネジメントに悩んだ場合、図解を添えて分かりやすく綺麗にまとめることができます。
良かったところ
❶ コンパクトなデザインとスリムな外観・・・「Terra」は小型でコンパクトなデザインを備え、ユーザーのデスク環境に圧迫感を与えません。
特に「mini-ITX」の中でも小さい部類に入り、デスク上に設置してもスタイリッシュな外観を保ちます。
❷ 簡単なオープン機構・・・ケースの上左右がねじ不要で簡単にオープンできるため、内部へのアクセスが容易です。
作業性を向上させ、パーツの交換やメンテナンスが簡単に行える点は良いです。
❸ 高いデザイン品質と素材の選定・・・「ウォルナット無垢材」などのブティックデザインの素材を使用し、洗練された外観を実現しています。
木材のパネルはおしゃれで、デザインにこだわりを感じます。
❹ 冷却対策と大容量GPU対応・・・「冷却スリット」の設計により、冷却性能が向上しています。
また、奥行きがあるため大きめのグラフィックボードを搭載でき、ハイエンドなグラフィック性能を持つPCを構築できます。
❺ 作業しやすい内部構造・・・ケース内部のスペースが限られていますが、「SATA」の「SSD」や「HDD」を組み込まない限り、作業しやすいと思います。
狭い空間でも工夫された設計により、組み立てがスムーズです。
❻ 外観デザインのバリエーション・・・カラーバリエーションが「Jade」、「Graphite」、「Silver」の3色用意されており、ユーザーの好みに合わせて選択できます。
❼ケーブルマネジメントに悩んだ場合、図解を添えて分かりやすく綺麗にまとめることができます。
残念な点、注意する点
❶ 価格の高さ・・・「Terra」の価格は他の同様の製品よりも高いです。
筆者は「セール時」で「29,800円」で購入しましたが、一般的なMini-ITXケースの中では高めです。
❷ 静音性の課題・・・「トップフロー型」のCPUクーラーと「小さいファン」により、パーツの選定次第ですがケースのスリットが大きい分、騒音が顕著に表れます。
❸ グラボの配線が難しい・・・「グラフィックボード」の差口からの配線や、電源からの配線が難しいです。
特に「24PINケーブル」が「30cm」を使っている場合、あえて遠回りして「電源ユニット」と下部の「120mmファン」の隙間(かなり狭い)を確保する必要があります。
初めての自作PCのユーザーや初心者にとっては、構築の難易度を上げる可能性があります。
❺ ファンの大きさによる冷却の制約・・・小型ながらも強力な冷却が求められる場合、「トップフロー型」のCPUクーラーと小さいファンでは十分な冷却が難しいかもしれません。
「240mm簡易水冷クーラー」が換装できれば完璧でした。
総評
「Terra」は「Formd T1」とは外観は似ているものの内部構成が大きく異なり個性が強く出ていて組み立てて楽しかったです。
塗装面も「Formd T1」は「サラサラ」しているのに対し「Terra」は「しっとり」していてます。
「Terra」は「キズ」や「汚れ」が付着しやすい点には、かなり気を遣います。
メンテナンス性は圧倒的に「Terra」の方が工具が不要で、パーツの入れ替えに対する気軽さがあります。
冷却機構としては「簡易水冷クーラー」を取り付けること前提としていないため「空冷専用ケース」と割り切る必要があります。
フレームと内壁に僅かながらスペースがあるため、ファンを取り付けるなど創意工夫ができます。
よって「Terra」は「ミッドレンジ」の構成が良いと感じました。
理由として、「240mm簡易水冷クーラー」を取り付けられない点や「RTX 4090」や「i9 14900K」のような超ハイエンドのパーツを選ぶ場合、冷却に配慮する必要があり、バランスの取れた構成が求められます。
改善のための最も明白なポイントは、騒音プロファイルを改善するためには、スラット(細長い開口部)からベント(通気口)の形状を変更することが最も効果的です。
「サーマルパフォーマンス」は概ね良好で、シャーシの通気口は十分に設計されています。
「Terra」は主に「 空冷ケース 」として設計されており、熱気を排出するための少なくとも1つの排気ファンの追加をして欲しいです。
デザインは「ミニマリスト向け」にピッタリなサイズ感、インテリアに相応しいPCケースです。
またゲーミング要素が一切なく誰にでも受け入れやすいデザインは「Terra」の一択です。
共に「Terra」のコーディネートについて語りませんか?
お目通し戴き、ありがとうございました。
AD: N.K
この記事がお役に立ったと感じたら、リツイートやいいねで共有していただけると嬉しいです。
https://twitter.com/BooStudio_blog
主な仕様
ドライブマウント: 2.5インチ専用ドライブマウントが2つ(付属)
拡張スロット: GPUに対応した構成では3つ、MaxCPU-Coolerに対応した構成では2つ
フロントインターフェース: USB Type-C 20Gbps(USB3.2 Gen 2x2)1つ、USB Type-A 5Gbps(USB 3.0)1つ、電源ボタン1つ
ファンマウント: 合計1x 120 mm、ボトムに1x 120 mm
ロックメカニズム: 工具不要のプッシュ式ロック、サイドとトップはネジでロック可能。
互換性: mITXマザーボードと互換性あり。
電源: SFX-LまたはSFX形式の電源が利用可能で、最大長は130 mm
サイドラジエーター: 120mmのサイズ(200mm GPUでSSDを搭載しない場合は121mm幅)
GPUサイズ: 最大322 mmの長さ、最大幅は2つの異なる設定に依存(72 mmまたは62 mm)
GPU高さ: 最大高さは145 mmまたは131 mm、設定により異なる。
CPUクーラー高さ: 最大高さは77 mmまたは48 mm、設定により異なる。
マザーボード調整: マザーボード "Spine" は調整可能で、GPUの幅とCPUクーラーの高さに影響を与える。
組み立てパターン: 2つの組み立てパターンがあり、詳細はマニュアルを参照
寸法: ケース寸法(LxWxH)は343 x 153 x 218 mm、脚/突起/ネジを含まないケース寸法は343 x 153 x 198 mm
パッケージ寸法: 394 x 215 x 292 mm
重量: 正味重量は3.1 kg、総重量は4.0 kg
容積: 10.4リットル