今回ご紹介するのは2021年11月26日に発売されたAlder Lake世代チップセット「Z690」を搭載したマザーボードMini-Itx「ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI=以下、Z690-I」です。
- 「ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」の特長
- 開封の儀
- 外観
- 「ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」をチェックする
- 使ってみた感想
- 良かったところ
- 残念な点、注意する点
- 総評
- 主な仕様
- 関連商品
- トレンドアイテム
Alder Lake世代チップセット「Z690」は「第12世代」IntelCoreシリーズのプロセッサーに対応します。
ソケットは刷新されて「LGA1200」から「LGA1700」へ大きくなりました。
よって「LGA1200」と「LGA1700」の互換性はありません。
チップセット「Z690」による進化点は以下の通りです。
チップセット | Z690 | Z590 |
CPUソケット | LGA1700 | LGA1200 |
メモリスロット | DDR5-4800 | DDR4-3200 |
DDR4-3200 | ||
PCIe バージョン | PCIe5.0 | PCIe4.0 |
PCIe レーン数 | PCIe4.0 12レーン | PCIe3.0 24レーン |
PCIe3.0 16レーン | ||
USBポート(最大) | USB 3.2 Gen2.2(4) | USB 3.2 Gen2.2(3) |
USB 3.2 Gen2.1(10) | USB 3.2 Gen2.1(10) | |
USB 3.2 Gen1.1(10) | USB 3.2 Gen1.1(10) | |
USB 2.0(16) | USB 2.0(14) | |
M.2スロット | PCIe5.0×4(128GB/s) | PCIe4.0×4(64GB/s) |
サポートCPU | 第12世代 | 第11世代/第10世代 |
現行のグラフィックボードは「PCIe4.0」ですが年末には「PCIe5.0」へ移行するので先に準備しておくと安心です。
また「M.2」のスピードがかなり速くなるのでロードが気になる方は「Z690」を選んでおきましょう。
「ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」の特長
❶インテルLGA 1700ソケット: 第12世代インテル Core、Pentium Gold、Celeron プロセッサーに対応
❷最適なパワーソリューション: ProCool II電源コネクタ、高品質合金チョーク、耐久性の高いコンデンサを使用した10+1パワーステージにより、マルチコアプロセッサに対応
❸最適化された熱設計: 高伝導性サーマルパッドを使用したI/OカバーとVRMヒートシンクの統合、L字型ヒートパイプ、2つのオンボードM.2ヒートシンクとバックプレート搭載
❹高性能ネットワーク: Intel WiFi 6E (802.11ax)、Intel 2.5 Gb Ethernet(ASUS LANGuard搭載)を搭載
❺最高のゲーミングコネクティビティ: HDMI 2.1、2つのM.2スロット、2つのThunderboltTM 4、および1つのUSB 3.2 Gen 2x2 Type-Cをサポート
❻インテリジェントコントロール: ASUS独自の「AI Overclocking」、「AI Cooling」、「AI Networking」、「双方向AIノイズキャンセリング」により、セットアップを簡素化し、パフォーマンスを向上
❼DIYフレンドリーデザイン: ROGフロントパネルSATAカード、M.2 Q-Latch、プレマウントI/Oシールド、BIOS FlashBackボタン、Clr CMOSボタンをバンドル
❽比類なきパーソナライゼーション: ASUS独自のAura Sync RGBライティング、RGBヘッダーと2つのアドレサブルGen2ヘッダー
❾業界をリードするゲーミングオーディオ: ALC4080とSavitech SV3H712アンプ、DTS Sound UnboundとSonic Studio IIIを搭載(ASUS社HPより引用)
開封の儀
内容物
Cables
ROG USB2.0 splitter cable
Panel Cable
SATA 6Gb/s cables ×2
Miscellaneous
Cable ties pack
M.2 Q-Latch package(s)
ROG key chain
ROG logo plate stickers
ROG Strix stickers
ROG Strix thank you card
Installation Media
Support DVD
Documentation
User guide
外観
「ROG STRIX Z690-I GAMING WIFI」をチェックする
左「Z690-I」、中央「Z590-I」、右「Z490-I」
「 Z690-I 」にはVRM用のヒートシンクのファンが搭載されてます。
補助ファンが搭載されているVRMヒートシンクは「Z590-I」と比べて若干、大きくなりました。
ファンは「60,000時間」の耐久性を持つベアリングを採用しています。
「フェーズ」を見てみます。
「10+1個」の「パワーステージの電源回路」を搭載しています。
「フェーズ」の数がハイサイドとローサイドの「MOSEFT」と「ドライバ」を1つにまとめることで、より強力な電源VRMが搭載されているので起動の安定性が良くなり、オーバークロックなどの耐性も上がります。
CPU用コネクタは「8ピン」です。
その近くにLEDを装飾する「RGBヘッダー」があり「USBヘッダー」「CPUファン」「AIOポンプ」も備えています。
PCケースのフロントI/Oに接続する「USB 3.2 Gen2 フロントパネルコネクター」も備えています。
コネクター系統は「Z690」をポテンシャルを最大限に活かすためにレイアウトが大きく変更されました。
「USB3.2 GEN2」の近くに新しいインターフェースが追加されました。
限られたスペースに多数のインターフェース(ROGフロントSATAカード)を設置しています。
「SATA」が4基、「ADD GEN2」「F-PANEL」「SPEAKER」が1ヵ所に集約されています。
音源チップ「SupremeFX」とM.2スロットが一体化されてます。
音源チップには「SAVITECH SV3H712アンプ」が内蔵されることでTHD+N性能が72dBから83dBへ大幅に向上し歪みやノイズをカットします。
また「オーディオパス アイソレーション」が内蔵されることでマザーボード間に直接接続されたものから発生する電磁波を遮断します。
中央のロゴに2枚のM.2ストレージが換装できます。
順番に外してみます。
M.2の裏側を冷却する冷却シートが装備されています。
M.2を換装するとこんな感じです。
外したパネルの裏側にも冷却シートが装備がされていてサンドイッチ(両面)で冷却するので熱暴走の心配はなさそうです。
今回「Z690I」からM.2を留めるネジを廃止して工具不要の「M.2 Qラッチ」が採用されています。
「2層構造」になっているので右端の端子ベルトを上に持ち上げると外れます。
従来ならマザーボードの前面と裏面に一基ずつ「M.2スロット」を備えているのに対し「Z690-I」は「2枚重ね」換装できるので、とても便利です。
マザーボード裏面のストレージを交換の際は、わざわざPCケースからマザーボードを外すのがとても大変な手間でした。
最下層はフィンとマザーボードとの隙間によってM.2の排熱を逃がします。
インターフェース周りを見てみます。
「Z690I」は「クリアCMOSボタン」が追加されて万一のシステム不調には役立つので、とても助かります。
BIOS更新は、メモリやCPUがインストールされていなくても実行できます。
「BIOS FlashBack」が搭載されてUSBスティックにドロップし「USB BIOS FlashBack ポート」に接続してボタンを押します。
映像出力は最新規格の「HDMI 2.1」を採用しています。
「HDMI 2.1対応」のTVを使えば4K120fpsでゲームが楽しめます。
2ポートのThunderbolt 4 USBType-C (40GbPS)が装備されていて外部4KディスプレイのほかVRなど映像出力に重宝します。
USBポートは全部で「9口」あるので拡張性は豊富です。
ネットワーク周りを見てみます。
付属の「WiFi 6Eアンテナ」は安定して垂直に立てられるようになりました。
アンテナには2つの送信機と受信機が内蔵されており、より高速な伝送を可能にし「2.4GHz」「5GHz」「6GHz」帯をサポートしています。
有線LAN「2.5Gbイーサネット」は標準的なイーサネット接続よりも2.5倍のスピードを実現します。
PCIeスロットを見てみます。
PCI Expressスロット部分には金属プレートを使用してます。
グラフィックボードの自重で垂れ下がらないだけでなく、グラフィックボードを換装の際に引き抜く力も通常の1.6倍の強度を実現。
今後にかけて「グラフィックボード」は性能とともに重さも厚み(3スロット)増してくるので頑丈であれば安心です。
「CPUソケット」に「Core i9-12900K」を載せてみます。
「CPU」を換装する際に下すレバーが非常に圧力がかかっています。
最近、問題として取り上げられている「CPU反り」がこのことを示します。
第12世代ではCPUの形状が正方形から長方形に大きくなったことにより中央部分が点で強く押さえつけられて「ヒートスプレッダ」が曲がってしまいます。
結果、「ヒートスプレッダ」が中心に曲がることによって「CPUクーラー」との間に隙間ができてしまい接着面積が小さくなることで冷却性能が著しく低下する問題が懸念されます。
対策として10mm、0.8mm、0.5mmの「ワッシャー」をマザーボードとソケットホルダーの間に挟むことでソケット圧を少しでも緩和するという裏ワザがあるとのことです。
0.8mmワッシャーを入れてみます。
星形T20ドライバーを使ってネジを緩めます。
ここで注意しなければならないのが「ソケットホルダー」を外すと保証対象外に扱われてしまいますのでユーザー側でリスクを負わなければならない厳しい選択肢が迫られます。
一応、通常使いでもCPUやマザーボードが損傷するといった報告はないようなので無理に「ワッシャー対策」を施さなくても良いと思います。
それでは起動して「BIOS画面」を見てみます。
「BIOS」の起動の仕方は電源投入時に「F2」を押し続けてください。
トップ画面になりPCスペックが確認できます。
「F7」を押して「詳細設定モード」に切り替えます。
ここでは「Z690」の特権である「ABT」によって簡単操作でCPUのオーバークロックが行えます。
消費電力が高くなるので普段使いには向かないので「無効」にしておきます。
メモリのオーバークロックも簡単操作で行えます。
CPU温度によって内部ファンをコントロールする「Q-Fan」を使って回転数を変更したり複数のファンを一括設定することができます。
BIOS設定に慣れてきたらグラフィックボードのポテンシャルを引き出す「Resizable BAR」の設定にチャレンジしてみてください。
【ポテンシャルを引き出せ!!】AMD社「Smart Access Memory」の設定方法を解説!
効果としては数パーセントですが是非、試してみてください。
使ってみた感想
CPU冷却対策として「ワッシャー」を入れる前と入れた後のCPU温度の違いは、あまり変わりませんでした。
一度、歪んでしまったCPUは効果が薄いのかもしれません。
気を取り直して新規格ソケット「LGA1700」が対応するASUS社「ROG RYUJIN II 240」を起用したら5℃くらいCPU温度が下がりました。
旧規格「LGA1200」ではマウントの締め付けの相性が悪いせいかCPU温度は高くなる傾向があります。
ASUSのマザーボードは「LGA1200/1700」と両方、対応しているのですが「LGA1200」は「一応使える」と思った方が良さそうです。
個人的に気になったには「BIOS画面」までの起動時間が長くなりました。
下手すると1~2分くらい待たされることがあります。
今まですぐ「BIOS画面」が立ち上がったので非常にストレスです。
結果、デスクトップ画面まで3~4分くらいかかります。
急いでいるときは他のPCを使ってしまいます。
CPU周りの電源周りの「IO」、「上部VRM」、「チップセットヒートシンク」がかなり厚く狭くなったので空冷CPUクーラーの干渉は大いにあると思います。
既存の空冷クーラーを流用するならば現物を見て確認すると良いでしょう。
今回の「Z690I」は「SPDIF=光端子」が装備されているので大画面モニターと接続するとオーディオやホームシアターなどが楽しめてリビング周りが充実します。
少し古いオーディオシステムだと「HDMI端子」が装備されていないので「光端子」が重宝します。
Alder Lake「Core i9-12900K」と「RTX3090」との相性が良くて苦手だった「フルHD」の高フレームレートの伸びが格段に良くなりました。
【高効率コアはゲームに強い!】INTEL社Alder Lake「Core i9-12900K」をレビュー
うまく起動しないなどトラブル時に救済措置として「CMOSクリアボタン」が便利です。
気軽にエラーしやすくなり色々と試せるようになりました。
ストレージM.2が表面に2基、配置されているのでストレージ交換の際に、わざわざマザーボードを取り外すことはありません。
良かったところ
❶第12世代Alder Lake「高効率コア」によってグラフィックボードのポテンシャルが最大限に引き出せます。
例えば第11世代Rocket Lakeでは「RTX3090」を起用すれば4Kなど高解像度に効果を発揮しますが処理が軽い「フルHD」のような高フレームレートは伸びにくい傾向がありましたがAlder Lake世代で、しっかり解消されました。
❷「SPDIF=光端子」が装備されているので大画面モニターと接続するとオーディオやホームシアターなどが楽しめてリビング周りが充実します。
少し古いオーディオシステムだと「HDMI端子」が装備されていないので「光端子」が重宝します。
❸システム不調の際に役立つ「クリアCMOSボタン」が装備されている。
今までは、わざわざPCケースの中を開けて磁力を持ったドライバーでピンをショートさせる必要がありました。
❸表面に「M.2スロット」が「2基」換装できるのでカートリッジ交換のような感覚で使いやすいです。
また工具不要の「M.2 Qラッチ」が採用されているのでベンチマークなど頻繁に取り外す方には、とても便利です。
残念な点、注意する点
❶「CPU」を換装する際に下すレバーが非常に圧力がかかります。
結果、CPUの「ヒートスプレッダ」の中心が曲がり「CPUクーラー」との間に隙間ができてしまい接着面積が小さくなることで冷却性能が著しく低下する問題が懸念されます。
一応、通常使いでもCPUやマザーボードが損傷するといった報告はないようなので無理に「ワッシャー対策」を施さなくても良いと思います。
❷「BIOS画面」までの起動時間が長くなった。
最悪の場合3~4分も待たされることがあります。
追記:2022年9月19日
最近、新しいメモリと交換したら「BIOS画面」の起動が速くなりました。
原因は「メモリ」の初期不良でした。
❸CPU周りの電源周りの「IO側」、「上部VRM」、「チップセットヒートシンク」がかなり厚く狭くなったので空冷CPUクーラーの干渉する可能性がある。
一度、現物を確認しておくと良いでしょう。
❹NON-RGB仕様になっているのでマザーボード自体のライティング機能はありません。
最近の高級PCパーツは「光らない、光らせない」が主流になってきていますのでライティング好きの方には少し物足りないかもしれません。
❺「VRMヒートシンク」の背が高くなって既存の空冷クーラーが干渉して使えない可能性があります。
水冷ヘッドの取り付けの際、指が入りづらくなって作業性が悪くなり大変でした。
総評
インテル社のAlder Lake世代の登場によってAMD社CPUの販売シェアを奪還しました。
敢えて型落ちが欲しいというのならば話は別ですが今からRyzen5000シリーズを購入するのは時期が悪いです。
7月頃から年末にかけてインテル社CPU第13世代「Raptor Lake」やAMD社Ryzen 7000「Zen 4」が控えています。
またグラフィックボードNVIDIA社「RTX4000シリーズ」やAMD社「Radeon7000シリーズ」も投入を控えています。
先にAlder Lake CPUを持っても「Raptor Lake」と互換性があるので、この機会に新調は絶好のタイミングです。
今から非公開の新技術を駆使した美麗グラフィック環境を準備しませんか?
お目通し戴き、ありがとうございました。
AD: N.K
主な仕様
CPUソケット-LGA1700
フォームファクタ-Mini ITX
メモリタイプ-DIMM DDR5
メモリスロット数-2
PCI-Express 16X
SATA-4 本
Serial ATA-SATA6.0G
M.2ソケット数-2
M.2-M key:type 2242/2260/2280
HDMIポート
USB-USB3.2 Gen2 Type-Ax2、USB3.2 Gen1 Type-Ax3、USB2.0x2、USB Type-C(Thunderbolt 4)x2
VRMフェーズ数-10+1
無線LAN-IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax
オンボードLAN-10/100/1000/2500