新世代は旧世代を大きく超えよ

科学技術は日進月歩の世界です。特にテレビ、オーディオ、コンピューター関連の機器は急速に加速しています。 新世代、旧世代のそれぞれの製品の特長を見い出し参考になれば幸いでございます。

【有終の美は飾れない?!】INTEL社 Rocket Lake 「Core i9-11900K」をレビュー

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今回ご紹介するのは2021年3月30日に発売されたINTEL社 Rocket Lake 「Core i9-11900K=以下、11900K」です。

 

 

Core i9-11900K」は旧世代「Core i9-10900K」と互換性を持つCPUソケットLGA1200を採用した最上位CPUです。

 

新しくなったマザーボードチップセットは「Z590」となり第10世代「Z490」とも互換性がありますが一部、ストレージが排他仕様のためメーカーによって「M.2ソケット」は使えない場合があります。

Core i9-11900K」の進化点

簡単にまとめると以下のお通りです。

 

❶「最大20レーン」に拡張したPCI Express 4.0

 

❷「DDR4-3200メモリ」をサポート

 

❸「Resizeable BAR」をサポート

 

❹内蔵GPUIntel UHD Graphics」が一新されて「Intel UHD Graphics 750」と「Intel UHD Graphics 730」に進化 競合するCPU比較表を作成しました。

CPU core i9 11900K core i9 10900K Ryzen9 5950X Ryzen 9 3900XT
コア数 8 10 16 12
スレッド数 16 20 32 24
ベースクロック 3.5 GHz 3.7 GHz 3.4 GHz 3.8 GHz
ブーストクロック 5.3 GHz 5.2 GHz 最大 4.9 GHz 4.7 GHZ
L2 cache - - 8 MB 6MB
L3 cache 16 MB 20MB 64 MB 64MB
対応メモリ 3200MHz DDR-2993 3200MHz DDR-3200
TDP 125W 125W 105 W 105W

「11900K」は「10900K」と比べてコア数は「10コア」から「8コア」に減りましたがブーストクロックは「5.3 GHz 」と少し上がりました。

 

「L3 cache」は「20MB」から「16MB」に減りました。

 

対応メモリは「3200MHz」に上がり「Ryzen 9 5950X」と同じメモリスピードになりました。

 

スペック表だけで見るとパフォーマンスが下がったように思いますが「11900K」の特権である「Adaptive Boost Technology=以下、ABT」を使用することで「Ryzen 9 5950X」と同等のスコアを叩き出すとのこと。

「Adaptive Boost Technology」とは・・・?

「ABT」とは「BIOS設定」にて「全コア5.1GHz動作」を可能にしプロセッサーの限界を超える最後の手段です。

 

簡単に言えば複雑な「BIOS画面」にてオーバークロックの「電圧」「メモリスピード」など細かい設定を施さなくても「ABT」を「有効」にするだけで玄人レベルの設定が反映されて超簡単オーバークロッカーの気分に浸れます。

 

ただ消費電力はとてつもなく大きいため普段使いには向いてないです。

 

あくまでベンチマークのスコアを楽しむための機能だと思った方が良いでしょう。

開封の儀
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外観
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Core i9-11900K」のスコア検証

【CPU】INTEL社「Core i9-11900K

 

マザーボードASUS社「ROG STRIX Z590-I GAMING WIFI

 

【メモリ】キングストン社「HyperX Predator RGB 4000MHz 8×2/16GB」

 

GPUASUS社「ROG-STRIX-RTX3090-O24G-GAMING

 

PSUクーラーマスター「V850 SFX GOLD

 

【AIO】ASUS社「ROG RYUO 240

 

「SAM=Resizeable BAR」と表記しています。

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検証環境は「Intel Adaptive Boost Technoloby」を「有効」、「Memory Controller DRAM Frequency Ratio」を「1:1に設定します。

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BMW V2.90)は数字(秒単位)が少ないほど速い(良い)ということになります。

 

blenderBMW V2.90)ー「CPU」

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いきなりですが筆者のPC環境では「11900K」の「ABT有効」が一番低いスコアになりました。

 

競合するトップクラスのCPUの中でも一番遅い結果になりました。


Cinebench R20ー「CPU」

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「CPU別」

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Cinebench R20」では「ABT」を切った方が良いスコアになりました。

 

「ABT」の効果を裏切る結果になり残念です。

 

ところが「シングル」では「10900K」を大きく超えて「5950X」よりも高いスコアになりました。

 

「11900K」の底力を見せてくれる結果になりました。

 

Cinebench R15ー「CPU」

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「CPU別」

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「ABT有効」の効果は出ていますが「10900K」には及ばない結果になりました。

3D MARK

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CPU別スコア

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「ABT」の効果はほとんどありません。

 

レンダリング等は「ABT」を切った方がスコアが出しやすい結果になりました。

 

アサシン クリード ヴァルハラ」-「デフォルト設定」

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「平均フレームレート」

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アサシン クリード ヴァルハラ」では「ABT有効」がしっかり反映された結果となりました。

 

「10900K」を超えてさらに「5950X」よりも高いスコアを叩き出しました!

 

フルHD」こそ「11900K」の底力を見せてくれました。

 

ファークライ5」-「デフォルト設定」

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「平均フレームレート」

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「5950X」と同等のスコアになりましたが「10900K」には及ばない結果になりました。

ディビジョン2-「デフォルト設定」

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「平均フレームレート」

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「ABT有効」の効果は出ていますが「10900K」が圧倒的に強いスコアになりました。

 

ゴーストリコン・ブレイクポイント-「デフォルト設定」

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「平均フレームレート」

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ゴーストリコン・ブレイクポイント」でも「5950X」と同等のスコアになりました。


SHADOW OF THE TOMB RADER-「デフォルト設定」

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「平均フレームレート」

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「ABT」と「SAM無効」の差は大きく開いてますが「10900K」と「5950X」には及びません。

 

「4K」ではほとんど差がないので「フルHD」や「WQHD」の高フレームレートが苦手な結果になりました。

 

RISE OF THE TOMB RADER-「デフォルト設定」

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「平均フレームレート」

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「RISE OF THE TOMB RADER」では「10900K」よりも、やや低いスコアになりました。

デウスエクス マンカインド・ディバイデッド-「デフォルト設定」

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「平均フレームレート」

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「10900K」と同等のスコアになりました。

strange brigade-「スケール150%」

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「平均フレームレート」

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「strange brigade」では競合するCPUと比較しても、ほぼ同等のスコアですが、ほんの少しだけ「11900K」が一番、高いスコアになりました。

 

ゴーストリコン ワイルドランズ-「デフォルト設定」

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「平均フレームレート」

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「4K」では「10900K」よりも少し低いスコアですが「フルHD」では競合するCPUの中で一番、高いフレームレートが出せる結果となりました。 以上、「Core i9-11900K」のスコアでした。

使ってみた感想

Cinebench R20」の測定時は室温(16℃)です。

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Core i9-11900K」と言えば一番、注目されているポイントは、やはり「CPU温度」と「消費電力」ではないでしょうか? 

 

ABT-SAM有効の設定では「CPU最高温度」は「90℃」を超えませんが消費電力は「250W前後」と非常に高めです。

 

通常設定(20%OC)では「CPU最高温度」は「70℃前後」で消費電力は「180W」くらいなのでハイエンドCPUの中では、ややエネルギー効率は悪いですが通常使いには何とか使えそうです。

 

「ABT有効」は普段使いには向いてませんがベンチマーク遊びにはとても面白い機能だと思いました。

 

筆者の個人的な意見になりますが「11900K」単体の「CPU温度」と「消費電力」に関心があるわけではありません。

 

「11900K」を起用すれば、ご愛用する自作PCを酷使することで、どのような「限界点」が見えてくるかが分かってきました。

 

例えば「電源ユニット」ならばCORSAIR社製の「SF750」を換装していますが「11900K」+「RTX3090」の組み合わせでは電源パワーが足りず「RTX3090」のソケット端子部分が「赤ランプ」が点灯してしまいました。

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その結果によって「電源容量」が「750W」では足りずクーラーマスター社製の「V850 SFX GOLD」を購入する羽目になりました。

 

また「簡易水冷CPUクーラー」も十分に冷やすことが出来なかったので簡易水冷CPUクーラー単体のアップグレードよりも熱効率を意識したPCケース内部のエアフローの見直しをしないといけないことも分かりました。

 

「11900K」を起用して新たな課題として「電源周り」と「高効率なエアフロー」の強化を施すことができました。

 

今後、さらに強化されたフラッグシップクラス(ウルトラハイエンド)次世代デバイスを構築するたびに毎度、「不足」を補っていては後々に面倒になるので先に対策しておいた方が得策です。

良かったところ

❶シングルコアは「5950X」を凌ぐスコア!

 

❷「PCIe 4.0」が使える!

 

❸内蔵GPUが「UHD630」に「UHD750」に進化してパフォーマンスが「1.5倍」くらい向上!

 

❹ポジティブに捉えるならば先々に備えた次世代ウルトラハイエンドモデルの動作チェッカーとしてご愛用のPCの弱点や課題が発見できる!

残念な点、注意する点

❶高い消費電力

 

❷伸びないスコアの割に値段が高い

 

❸パフォーマンスは旧世代「10900K」よりも劣ります。 特にゲーム性能でも大半は負けています。

 

❹「レガシーBIOS」、「VBIOS」、「Free DOS」のサポートが終了してチップセット「Z590」では使用できなくなりました。

 

「レガシーBIOS」は古いWindows10を起動するために設計されたシステムです。

 

よって以前までは「UEFI」と「BIOS」のどちらを選んでも起動しましたが「Z590」は「UEFI」のみ起動するので非常に不便になりました。

 

「非UEFI」で「Windows10」をインストールしている方は新規で「UEFI」として再インストールする必要があります。

 

「VBIOS」はNVIDIA社「GeFoece 10xx」、AMD社「Radeon 5x00」以降から使用できます。

 

よって古いグラフィックボードは使用できなくなるので注意してください。

総評

Core i9-11900K」はかつてない高い消費電力と爆熱は噂通りでした。

 

ゲーム目的で購入するのはやめておいた方が良いでしょう!

 

その中で最も強いシングルコアはゲーム性能には、あまり活かせなかったことは残念です。

 

ゲームをするなら素直に旧世代「10900K」を導入した方が賢明です。

 

ただポジティブな使い道としては今、愛用する自作PCの弱点を探索ツールとして活用できるのではないか?と思いました。

 

用途こそ「それじゃない感」や「こんなはずじゃなかった感」がありますが「11900K」を通じてシステム構成の弱点と課題が見えてきました。

 

次世代フラッグシップデバイスに備えるシステムチェッカーとして「Core i9-11900K」を起用してみてはいかがでしょうか?

 

 

お目通し戴き、ありがとうございました。

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